正義 | ナノ


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一人分じゃ足りない
カノンさんの小宇宙を完璧に真似できるサガさん
アイオロスさん以上の愛情
“彼”とカノンさんの共通点
子供っぽさ
見つけて欲しいカノンさん
“彼”が最初に訪れた私
いつからかわかりにくく存在した“彼”
兄の顔をしたサガさん

答えがすぐそこまで来ている。
それがわかるのに、あと一歩、何かが足りない。
何が足りないのか、それもわからない。

「氷雨、」

くぐもった声で名前を呼ばれて、ハッとする。
カノンさんをゆっくり離して、頭を切り替える。
大丈夫だと、カノンさんはここにいるのだと、そう伝えるように目を合わせた。
照れたように笑ったカノンさんは、私の手を取ってから柔らかく私の掌に唇を押し当てる。

「俺を、見つけてくれ…サガとしてじゃない、俺を見て」
「勿論です」

お返事だと、その露わになっている額に口付けた。
ふにゃり、と途端に笑み崩れたカノンさんにびっくりする。
と、同時に、カノンさんが男性で、異性なのだ、と唐突に理解した。
耳まで熱くなったのは、今の体勢とか、自分が行動したことを客観的に判断できたからで。
しかも、カノンさんの隣にサガさんがいたことも、一部始終を見られていたのだと自覚したからで。

「…っ」
「氷雨…?」
「ちょっと、しばらく話しかけないでもらってもいいですか」

顔を隠しながら、二人から離れる。
そうだよね、最近子供っぽいとか勝手に思ってたけどさ、彼らは美形で年上の男性な訳だよ。
ディーテもそりゃ怒るよ。
私のガードが弱いとか警戒心がないとか、過保護になってもおかしくなかったわ。
もうなんていうか、とりあえず、今日ちゃんと三人に謝っておこう。
とはいえ、過保護は過保護だと思うけど。
確かに私はガードが弱いかもしれない、警戒心がないかもしれない。
でもさ、サガさんとかカノンさんとかのスルッと懐に入ってくる感じは、私では防ぎきれなかったよ!?
いや、むしろ、私にも彼らにも恋愛感情がないし、そういう関係になろうという思惑がないからそうなるのかもしれない。
一度深呼吸する。

「大丈夫か、氷雨?」
「氷雨、どうかしたのか?」

双子二人に問いかけられて、大丈夫です、なんでもないです、と首を左右に振る。
あまりに挙動不審だったからだろうか、怪訝そうな視線を向けられた。

「何か気に触ることをしてしまっただろうか?」

サガさんの不安そうな言葉にうぐ、と詰まる。
そういうことじゃないけれど、だからと言ってここで否定してもどうしてそうなったのかと言われるわけで。
あとついでにいうと、下手に伝えると、なんかいろいろ煽る結果になるんじゃないかと…思っていたら、カノンさんが気がついたように笑った。

「照れたのか?」
「…照れました」

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