正義 | ナノ



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さて、今日はシャカさんに食事をご馳走する日だ。
正直に言えば、何がどうなってそうなったのか、未だに理解出来ていないのだが。
私の料理を気に入ってもらえた、ということで良いのだろうか…。
なんて思っていたら、高い位置からのノック。
多分、これはアルデバランさんのノック位置だ。

「アルデバランさん?」

首を傾げながら扉を開けると、やはり、そこには想像した通りの人。
彼は困ったように眉を下げ、今日は金牛宮でもいいだろうか、と首を傾げた。
いいだろうかって聞いているけど、私としては何処であろうと連れて行ってもらわなくちゃいけない訳で。

「私は連れて行っていただけるのであれば何処でも構いません」
「すまんな」
「いえいえ、お世話になります」

頭を下げると、アルデバランさんは、肉は大量にあるから用意しなくて構わないぞ、と笑う。
…あ、これアレか、ご馳走する相手が増えたパターンのヤツか。
言われた言葉で気がついた内容にはっとする。
そうすると、多分、金牛宮な訳だし、シャカさんとアルデバランさんだけで、いいのかな?
聞いた方が早い、よね?

「他に誰かいらっしゃるんですか?」
「ムウと貴鬼が来る予定だが…大丈夫か?」
「ムウさんと貴鬼くんですか、わかりました」

じゃあ、デザートまで作ろう。
主に貴鬼くんのために。
そう心に決めて、少しだけ待ってもらっても良いかと問いかける。
笑顔で頷いてくれるアルデバランさんにお礼を言って用意を始めた。
いくつかの食材と調味料、それから調理器具。
忘れ物をして取りに来るのは大変なので、ある程度まとめるが、それでも結構な量である。
私もう一人分とまでは行かないけれど、中々に大きくなった。
主に原因は大食漢の存在ではないかと思わないでもないのだが…。
申し訳なく思いながらアルデバランさんの元まで運ぶと焦ったような声が聞こえた。

「なっ」
「荷物が多くなってしまって…すみません」

荷物を持っている所為で頭を下げられない。
慌てたようなアルデバランさんがそっと荷物を片手で持ってくれた。
その軽々とした様子にぱちりと瞬く。
…そうか、この人ベッド片手で担いで持ち運べる人だった。

「力持ちですね」
「氷雨は無理し過ぎじゃないか?俺たちならば簡単に持てるだろうが…」

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