正義 | ナノ



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さて、今日は、ミロさんと買い出しである。
ありがたいと思いながら、お昼前に迎えにきてくれるという言葉に甘えて部屋で仕事をしていた。
と、ノックが響いて、どうぞ、と声をかける。
何故か、カミュが扉の所でこちらを見ていた。

「えっと…?カミュ?」
「ミロに代わって迎えにきた」
「何かあったんですか?」
「いや、君に恐ろしい何かを食べさせようとしていたので凍ってもらっただけだ」

さらり、告げた言葉に耳を疑う。
何それ、まさかいつか見たあのレシピ改変料理ってことなの?
なんて思いながらも、何も言わないでおいて、机を片付ける。
殆ど準備は終わっているので、持ち物だけ確認して、カミュの元へ向かう。
そのまま天蠍宮に連れて行ってもらうと、その場には、何故かミロさんとリアがいた。
何だか良くわからないが言いあっている。
とりあえずカミュさんと生活区域の入り口付近に立って、何を言いあっているのか聞いてみた。

「彼女にこれは食べさせるな、」
「なんでだよ!俺が折角作ったのに」
「兄さんと同じような料理の腕をしているくせに何を」
「俺はアイオロスほど酷くない!」

…え、なに、アイオロスさん料理下手なの?
別にどうでもいいけど、マジか。
進められたら適当な理由付けて断わることにしよう。
言いあっている二人を見ながらぼんやりと考え事をしていると、隣のカミュがとんとんと肩を叩いてくる。
ん?と彼の顔を見上げると、唇の前に人差し指を立てて、しー、とジェスチャーしてきた。
私がこくりと頷くと、ぱちり、ウインクで返してくれて、さっと私をもう一度持ち上げる。
そのまま一度外に出て天蠍宮は回廊を通ることでスルーした。

「いいんですか?」
「こちらに気がつかず、言いあっている二人が悪い…それに、」
「なんです?」
「…あのまま、あの場にいては、ミロの手料理を食べるはめになる。それより、何処へ行きたいんだ?」

その問いに首を左右に振る。
あのままあの場にいたら、ミロさんの手料理…今回はどんな改変だったのか気にならないとは言えない。
でも多分、それは知らない方がいいんだろうな。
カミュさんの必死さからすると、それは多分確実だ。

「食料品が売っている所であれば、どこでも」
「他に欲しいものはないのか?」

驚いたようにパチリ、瞬いたカミュさんに少し考える。
何か、足りないものはあっただろうか。
服も持ってきた量で足りているし、薬はちょっと怖いし。
他には…雑貨?日焼け止めは買っておいた方がいいかなぁ…あとは、何か…。
とはいっても、紫龍君からの伝言を聞く限り、来月の食材が貰えるときに一緒に送ってくれそうなんだよね。
ってことは、やっぱり急を要するものだけでいい訳で。

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