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「私の一日でよろしければ」
へらり、わらって、その次の日の仕事ヤバそうだと心の中で悲鳴を上げる。
多分どの日にちも午前中は執務出来るだろうし、そこで減らすしかないかな。
サガさんに頼まれた仕事は昨日終わらせたから、大きな問題は無いだろう。
あとはなるべく今日中に仕事を減らしておかないと。
「…今日は休んでおけよ?」
私の考えを読み取ったようにじっと見てくるカノンさんから軽く視線を逸らした。
「考えます」
「休んでおけよ?」
「…善処します」
重ねて言われたのだが、とりあえず、言葉だけを返しておく。
へらり、と笑って、疑っているようだが、昨日やらかした私にはもう何も怖くない。
死亡フラグ立てた気がするけど気のせいだと信じている。
今まで何も言わず、こちらを伺っていたらしいサガさんが、にっこりと笑んだ。
「昨日、」
「休ませて頂きますね」
「そうしてくれると私も安心出来る」
にっこりの顔に勝てそうにない。
カノンさんが呆れたような何とも言えない顔を向けてくる。
「お前、まだ仕事するつもりだったのか…」
「…お休みって、寝る以外に何すればいいのかわからなくて」
外に出られないし、娯楽もないし、料理も他のタイミングでするし。
星矢君たちがいる訳でもないから勉強を教える必要もない。
本当に一体何をすればいいのだろうか…。
カノンさんがひくり、頬を引きつらせたのが見えた。
「氷雨、それ、本気で言ってる…んだよな?」
「ええ、休みは基本的に星の子に行くか、友人か星矢君たちに会うくらいでしたから」