正義 | ナノ



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「っ!ん?!いや…えっ?」

近くで聞こえた声に、んー、とよくわからない声を上げて、パチパチと瞬く。
あれ?ここどこだ?
ていうか、手を枕にしてたからか、首も痛いし、手も痺れてる。
一度首を回してから、未だに聞こえる困惑した声に目を向けた。

「アイオリアさん、おはようございます」

こくり、頭を動かして笑いかける。
アイオリアさんが混乱したままの表情で、お、おはよう、と返してくれた。
変な寝方をしてしまった所為か、頭が痛い。
ああ、寝てた時間もそれ程まで長くなかったみたいだ。
額に手を当ててから、気がついた。

「あれ?なんでアイオリアさんが此処に?」
「え、あ…その、二人の様子を見にきたんだ」

ハッとしたように意識を取り戻した彼は、何故この場に来たのか、答えてくれる。
二人が気になって、朝いつもより早く目が覚めてしまったらしい。
朝食も食べてないらしいので、二人の様子を見てきてもらいながら、朝食を作り始める。
それから、アイオリアさんの来訪によって目が覚めたらしい二人と連れ立って現れた。

「ああ、アイオリアさんも座っててください、朝食作りますから」

それからそのまま、完成した朝食を差し出す。
とは言ってもトーストとベーコンと目玉焼きにサラダと簡単なスープだけだ。
昨日の量を元に…すると気持ち悪い量になるので、シュラさんに出した朝食+αを一人分と換算して適当に作った。
もしかしたら足りないのかも知れないけど、いいよね。

「氷雨は、食べないのか?」
「私、目が覚めてから1時間経ってから食べるようにしてるんです」

なんて、そんなことないけど。
寝不足で食欲が無いんだよねぇ。
病み上がりな二人には今日も休んでもらうように伝えて、自室に戻ろうと階段を上がる。
隣にはアイオリアさんがハラハラとしながらついて来てくれていた。
何故だ?どうした?どういうことだ、なんて思う事なかれ。
純粋に心配してくれたらしい。

「あ、の、」
「はい?なんですか?」

きょとんと首を傾げて、アイオリアさんを見つめる。
あー、とかうー、とか煮え切れない言葉を零す彼に、ああ、女性が苦手なのか、と思いついた。
しかも自己紹介とかしてないし、マトモに話したこともないよね?

「アイオリアさん、私、白雲氷雨と申します。白雲でも氷雨でも、呼びやすい方でお呼びください」
「お、オレは獅子座のアイオリアだ。リアと呼んでくれて構わない」
「では、リアさん、ですね」

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