正義 | ナノ



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「もう、体調はほとんど戻ったみたいですね」

一杯では足らず、何度かおかわりしていた…その度に料理を作ったのだが、それはいい。
ていうか、皆さんよくお食べになりますね。
思わず苦笑してしまうくらいに、よく食べる。
食べることは悪いことではないし、私自身食べることは好きだ。
特に美味しいものは食べていれば幸せになれる。
だが、それでも、だ。
ディーテやシオンさまみたいな、大食漢の人と食事すると、見ているだけで満足する。
美味しそうに食べる彼らを見て箸が進む…というよりも、一体どうなっているのか、と気になってしまうのだ。
彼らは優雅に食べていて、噛んでいる時間や量も異常を感じないし、掻き込んでいる様子も見えない。
確かに、一口は大きめだが、それくらいだ。
それでも、ディーテは何故か私より食事を終えるのが早い。
ミロさんとカミュさんもそこまでとは言わないものの、中々の量と早さだ。
…聖闘士になるには、食事に対しても教育が必要なのだろうか?

「さて、お二人ともまだ油断は禁物です。今日は早く寝てくださいね?」
「でも、氷雨ちゃんはどうするの?」

一人で今から上がっていくつもり?と首を傾げたミロさん。
時計をみると、深夜ではないが、一人で帰るには少し微妙な時間だ。
一応着替えも持ってきているし、客間は他にもあるらしいし。

「カミュさん、客間の1つをお借りしても?」
「…ああ、好きなところを使うといい」

一瞬眉間に皺を寄せたカミュさんは一度頷いた。
ありがとうございます、と目を細めて、彼らを部屋に送る。
それぞれのベッドに近寄るのをみながら、ランプを手に取った。
え?なんでランプかって?各宮は電気通ってません。
あと、水も宮の近くに教皇宮から暗渠にして宮の下に段々に流して、それを井戸で引き上げる形だし。
火も竃ですし…あ、実は火をつけ難いと愚痴っていたら、シュラが使っていたジッポをくれました。
どうやら、禁煙を始めようと思っているみたいです。

「ねえ、氷雨ちゃん、」
「ミロさん?どうかしました?」

こいこい、と手招きするミロさんに首を傾げながら、近くの机にランプをおく。
それから布団を首までかけたミロさんに近寄った。

「さっきみたいに、ほっぺに手当ててくれないかな?」

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