正義 | ナノ


005
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翌日、久しぶりに外に出る。
何日、いや、何週間ぶりなんだろうか。
深呼吸して、買い物へ向かう…前に、星の子学園に顔を出す。
ふと、エプロンをつけた後ろ姿が目に入った。

「美穂ちゃん、久しぶり。可愛くなったね」
「っ、氷雨さん?!」
「うん、また暫く顔出せないから、皆に会っておこうと思って」
「あー、氷雨姉ちゃんだ!!」

誰かの声が響き、タックルされる。
うぐ、と声を漏らすが、お構いなしな少年少女にのしかかられる。
久しぶりだなーとか、待ってたんだからとか、様々な声が響いた。
かわいいなぁ、とぼんやり考えていると、後ろからもっと大きな声が聞こえた。

「あ、氷雨さんじゃねぇか!!」
「ん〜?星矢君?と氷河君に紫龍君に瞬君。これから学校?」

首を傾げながら問うと、全員が一度頷いた。
そして、口を開いたのは氷河君。
何度か瞬き、しかし、私の顔をじっと見ながら彼は静かに声を発した。

「氷雨さんは何故ここに?」
「クールだねぇ、氷河君は。明日からギリシャに出張だからね、みんなに会いにきたんだよ」

彼のクールさに磨きがかかっているので、微笑ましく思いながら、答える。
その答えに、胡乱げに私を見たのは瞬君。
可愛いかわいいと思っていたが、なかなかに男らしくなってきている。

「ギリシャ、ですか?」
「うん、瞬君はかっこ良くなってきたねぇ…。ギリシャだよー、さおちゃんに言われてー」

瞬君が嬉しそうにはにかむのを見て、にこりと笑い返す。
つぶやくように言葉を発したのは紫龍君で、私に対して呟いたのかはわからないが、返事をしておく。

「お嬢様が…」
「うん、直属の上司だからねー。紫龍君はなかなか落ち着いてきたかな」
「氷雨さん、いつまでいるんだ?」
「星矢君、相変わらず元気だねえ。個人的には、この後買い物に行って、また後で顔出そうかなって思ってる」

紫龍君の頭をポンポンと撫でて、星矢君のほっぺを摘んでから、私も彼らとともに外に向かうことにした。
美穂ちゃんはぽかんとした後、私も準備してくる!と駆け出したので、それを待つことに。
少年少女たちも渋々と学校に行く準備を始めて、その様子に頬が緩んだ。

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