正義 | ナノ


092
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その翌日のことだ。
執務室で仕事をしていれば、昨日一昨日とは少し様子の違うミロさんが入ってくる。
が、普段を知っている訳でもないので、何も言えないまま仕事を続けていた。
最近では、経理関係の仕事もやり始めている。
出張が多い聖闘士に経費で何処まで落とせるのか、いくら払うべきなのか考えていたそのときだった。

「ミロ、その態度は何だ?」

サガさんの不機嫌そう、というか、イライラしているような声が耳に入ってくる。
そちらに目を向ければ、ぐたり、と机に突っ伏しているミロさんが見えた。
その正面で不快そうな表情をしているサガさん。
はぁ、と溜息を1つ吐いて、水筒を持ち、立ち上がる。

「サガさん、」
「…なんだ、氷雨」

近づきながら、彼の背中を押して、席に着かせる。
それから、紅茶を渡して、笑った。

「少し休憩しましょう。その間にミロさんと話してみますから」
「だが、」
「なんとなく、様子が違って見えますし、もしかしたら何かあったのかもしれないですから」

ね?と首を傾げれば、む、と眉を寄せたものの、納得したように紅茶を口に運ぶサガさん。
その反応に一息吐いて、未だに机に突っ伏しているミロさんに近づいた。
近づいてみれば、より、違和感が襲う。
もしかして、と彼の額に手を当てる。
ワンテンポ遅れて、私の手を振り払おうと動くミロさん。

「体調不良なら、そういうべきですよ、ミロさん」

苦笑しながら告げれば、彼は困ったような表情を浮かべて、体調不良?と首を傾げた。
きょとんと首を傾げる様子に、思わず口元に手を当てる。
これは、あれか?聖闘士は体が頑丈過ぎて体調不良と言う概念がない、ってことか?
なんなの?ばかなの?しぬの?
この分だと体温計とかなさそうだなぁ。
…うん、体調管理を沙織様に提案しよう、じゃないと任務に支障が出てたりするかもしれないし。

「ちょっと待っててくださいね」

ぼーっとしているミロさんのふわふわの金髪を数回撫でてから、自室に戻って体温計をとってくる。
ぐで、として机に突っ伏したままのミロさんの隣に膝をついて、視線をあわせた。

「ミロさん、お熱測りましょう」
「…熱?」
「はい、多分、ミロさんいつもの状態より体温が上がっていて、怠いんだと思います」

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