計画
趙雲殿、馬超殿、徐庶、次男殿、軍師の弟子あたりが堕ちた。
軍師の弟子が本気なんじゃないかと思う位彼女に熱烈である。
とりあえず、ネタをバラしさえしないでいてくれれば本気であろうと構わない。
…薄情な訳ではないと弁解しておく。
私は、馬岱殿のところに向かい、近くに呉の都督殿とその弟子的な存在がいるのを確認した。
どうやら、此方を伺っているらしいのを感じながら、馬岱殿に駆け寄る。
驚いたように受け入れてくれる馬岱殿。
「馬岱、殿…、」
「よしよし、どうしたの?」
「徐庶が、ここに残るって…巫女姫の側にいたいって、」
「まさか!」
驚いたような顔をする彼にぎゅうと抱きついて、涙を零す。
私の顔を上げさせて、そんな、と零す馬岱殿。
とにかく落ち着いて話せるところに行こうと、彼は私を彼の部屋に連れて行ってくれた。
寄り添うようにしながら、どう?と問いかける。
「ばっちりだよー」
小さな声で答える彼の目は、冷静さを欠いた都督殿たちが何処かへ走り去っていく様子を捉えていた。
とは言え、安心は出来ないので、演技を続ける。
気を抜けはしないものの、馬岱殿といる時間は安心出来た。
巫女姫が近くにいる。
その事実に気の休まる時がない私に取って、彼の隣は酷く心地よかった。
「でも、心配だよ。本当に大丈夫?」
「ん、平気」
馬岱殿の言葉にこくりと頷いて、ぎゅ、と抱きつく。
この安心は、多分、明日か明後日には無くなる。
巫女姫が馬超殿に向かって、従弟に会いたいと告げているらしい。
大丈夫、自分にそう言い聞かせてから、馬岱殿と別れた。
翌日、案の定と言うか、馬岱殿の元に巫女姫殿が現れた。
しかも自ら現れたということだから、中々に馬岱殿を気に入っているようだ。
その日、呉の目がある中で、私は馬岱殿の元へ行く。
拒否され、唖然としてから、とぼとぼと部屋に戻ろうとする。
その途中で、凛とした声に呼び止められた。
「あなたは…?」
「私は周公瑾、話をしてもいいだろうか」
美周郎殿のお出ましである。
ついでに、その後ろには親劉軍師殿と元脳筋軍師がいる。
多分、若き軍師殿は離して貰えないのだろう。
…もしくは、若さを利用して、離れないのかもしれないが。
「ええ、では、部屋へどうぞ。徐庶も、帰ってきませんから」
「あなたは徐庶と恋人なのか?馬岱ではなく?」
「徐庶は仕事上の相棒です。そのため、いつも同じ部屋で仕事をしていたのですが…」
それ以上は口を噤んで、どうぞ、と部屋に招き入れた。
計画これからどうするつもりだったのか
静かに問いかけられた言葉に、それは、と言葉を濁してみせた。