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「私は聖闘士だ」
「…そうですね」
首を傾げながら、頷く。
聖闘士、もしくは教皇補佐。
それ以外は…ああ、沙織様のBG?
なんて思っていると真っ直ぐに私を見て、私の肩をつかんで来た。
大きいので圧迫感を感じて若干怖いのだが…。
「私は、」
「はい?」
「…お前の中で、どんな存在なのだろうか?」
体調不良じゃなくて、精神的に疲れてたのか。
ココは元気づけるべきかな?
「とても頼りになる人です」
「そう、か…」
「それから、もっと、笑ってほしいです」
笑うと免疫力高まるって言うし、気分的にも明るくなるからね。
なんて、思うも苦笑で誤摩化す。
サガさんにそう言ったら無理にでも笑いそうだし。
驚いた顔をしたサガさんは、その、と言葉を発する。
まだ何かあるのか、と数回瞬いた。
「この間、女神と何のお話をされたんだ?」
年の差?!
思わず、固まったが、思考を戻す。
軽く内容を掻い摘んで教えると、辛そうな顔になっていく。
どういうことだ…?
困った顔をするサガが聞こえてしまったのだ、と言いずらそうに告げる。
「女神が、氷雨に『それが、あなたのサガだ』と言っていただろう?」
「…!」
勘違い…!だけど、だからと言って、これは恥ずかしい。
私がこんなに恥ずかしいのだから、サガさんはもっと羞恥にかられるに違いない。
自分のことだと思っているその感じが、更に辛い。
ココは話を合わせた方が得策なのか、それとも、羞恥を諦めて正した方がいいのか…。
でもまて、あの、カノンさんの感じは、多分、勘違いが進んでいる。
「…氷雨?」
三十路を超えたとは思えない程に純粋な瞳で私を見つめるサガさん。
嘘だろ…!
何でこんな純真な変化を遂げたんだろうか。
黒サガの要素はなくなったのかな?
「聞いてはいけなかったか…?」
目に見えて落ち込まれると対処に困る。
眉を下げ、うるうるとした瞳。
絶対、この人三十路じゃない…!
星矢くん達と同い年だよこの反応。
「いえ、そんなことないです!その、まさか、サガさん本人に聞かれてるとは思わなかったので…」
「っ!?」
ああああああ、取り返しがつかない。
キラキラした眩しい程に輝く笑顔に、小さく呻いた。
運良くサガさんに気付かれずにすんでよかったが、私の心情的にはそれどころではない。
ヤバイ、慌てすぎて肯定しちゃったんだけど…。