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「…え?」
思わず聞き返した。
私と、サガさんがキス?え?
ぽかんとしているとカノンさんが正面に椅子を持って来て、そこに座る。
完全に話を続ける体勢だ。
「さっきミロが騒いでいてな」
「ああ、それでミロさんは叫んでたんですね」
「で、事実は?」
「サガさんの熱を測ってたんです、なんか様子が変だったので」
首を傾げて、返せば、ああ、昨日から確かに様子が変だな、と頷くカノンさん。
昨日から体調が悪いのだろうか。
「朝は普通だったんだが、お前を呼びに行って帰って来たらもう可笑しかったぞ」
「え?私が原因ですかね?そんな精神的ダメージは与えてないと思うんですけど…」
首を傾げる。
ふと、思い立ったように、カノンさんが笑う。
「サガのことは好きか?」
「え、はい」
「恋愛感情か…?」
「…へ?」
思わずぽかんとすれば、カノンさんがにやりと笑う。
彼が口を開いた。
もったいぶるように口角をあげ、意地の悪い容貌になっている。
「サガはな、氷雨、」
「はい、」
「カノォオオン!何を言うつもりだ!!」
「ッチ、もう帰って来たのか」
あからさまに舌打ちをしたカノンさんは、に、と笑う。
「こんな機会はないだろう?だからこそ貴様は愚兄なのだ」
「何だと?!」
またか。
思わずため息を吐く、が、サガさんは体調不良なんだと思い出した。
慌てて、二人の間に割って入り、話しかける。
「体調が良くないんですから、無理しないで下さい」
「っ、氷雨!?その、私は!」
「え、はい」
いつもより真剣な表情に首を傾げた。
全く想像がつかない、いや、いつもわかる訳じゃないんだけど。
逃げるようにドアのところに行ったカノンさんがにやつきながら手を振った。
口パクで「うまくやれ」と告げて、出て行く。
…何を?サガさんを休ませること?