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翌日、執務室に行くと違和感を感じる。
なんだろう、この、何とも言えない違和感。
「サガさん、」
「っな、なんだ?!」
凄い吃驚された。
ただ仕事取りに来ただけなのに…。
私が驚いた顔をしていたのか、サガさんは咳払いして首を傾げた。
「いえ、仕事を…」
「あ…ああ、そうだな、すまない」
挙動不審だ。
が、私が此処(聖域)に帰って来てからは執務室に来る人が減ったので、誰かに聞く、ということもできない。
だからと言って本人に、挙動不審ですよとは言えないし…。
ていうか、何があったんだろうか。
うーん、体調不良とかかなぁ。
「サガさん、」
「なんだ?」
「ちょっとすいません、」
ぴと、とサガさんのおでこに手を当てる。
それから、反対の手を自分の額に触れさせた。
…この計り方苦手なんだけど、何か熱い気がする。
そのまま手を動かして前髪を上に抑えて、おでこをあわせる。
うーん、やっぱ微妙に熱い。
サガさんが目を見開いて固まっている。
「んー…、ちょっと熱っぽいみたいですけど、大丈夫ですか?」
「だっ、大丈夫だ、」
サガさんがそう言った瞬間、後ろから扉が開く音が聞こえる。
「…、」
バタン。
何事も無く扉が閉じられる。
え?と思わず振り返ると扉の向こうから叫び声が聞こえた。
どうやら、ミロさんが先ほど扉を開けたようだ。
くぐもってよく聞こえないが、多分意味のない母音を叫んでいるんだと思う。
首を傾げて、扉に近づくと、謎の謝罪をしながら走り去って行った。
「…え?」
「か、勘違いだ、ミロォォオォオオ!!」
ミロさんの行動に唖然としていれば、サガさんが後ろで叫ぶ。
その声に吃驚して慌てて振り返った。
照れたように赤くなっている顔が、かわ…いや、珍しい。
しかし、何があった。
「勘違い、ですか?」
「氷雨…ちょっと待っていろ」
「え、あ、はい」
頷くと凄い勢いでサガさんが外に走って行った。
とりあえず、仕事してようかな?
適当に机に座って仕事を始めた。
「氷雨、」
「?カノンさん、どうかしましたか?」
「聞きたいことがあるんだが、いいか?」
仕事に区切りを付けたとき、正面にいたカノンさんに声がかけられた。
最近は皆さん、仕事中の私に話しかけず、区切りがつくまで待っていてくれる。
それもこれも私が反応しないのが悪いんだけど…。
とにかく、カノンさんに先を促す。
「サガとキスしてたのか?」