正義・番外編 | ナノ



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彼らに世話を焼かれていると、更なるダメ人間になれそうだ。
今でも手に負えないくらいに掃除ができないっていうのに…。
なんて、自分を戒めてみるが、にやける頬を抑えることはできそうもない。
三人もそのままの位置で椅子に座り、紅茶とスイーツを更にとった。
此処で面白いのは、シュラが中々の甘党であるということだろう。
私も結構な甘党だと自覚しているが、シュラは食べる量がすごい。
成人男性の食事の一人前を食べたあと、それと同じくらいの甘味を食べる。
だが、だからと言って、甘味がないときに食事を二人前食べるのかというとそうでもない。
デスはこの場合、普通、と言えばいいのだろうか。
あれば、少し食べる、という、一般的な食べ方で、特筆すべきことはない。
あ、基本的に甘味を作ってくれるのは彼だ。
ディーテは…いうならば、カカオ99%のチョコレートを望んで食べるタイプだ。
糖分はあまり好まないらしい。
ただ、フルーツの甘さは平気らしく、フルーツタルトは好んで食べている。

「そういえば、氷雨は髪型は変えないの?」

唐突に、思いついたのだろうか、問いかけてくるディーテ。
答えに詰まり、視線を彷徨わせる。
これは…ヘタなことを言ったら怒られるパターンだと思われる…。
正直、面倒っていうのが一番の理由なんだけれど、そんなこと言ったら、にっこりが来るんだろうな。

「時間がなくて、いつも自分で適当に整えてます」

肩をすくめて、ついでに視線を逸らしながら言う。
絶対顔とか見られない、怒ってるって、確実に怒ってるよ。
女の子だろう?って言われるんだ、多分。
と黙り込んでいれば、ディーテのみならず、他の二人も黙りこくった。

「自分で切ってんのか?」
「え、あ、うん、一応?」

デスの言葉に首を傾げながら、曖昧に頷く。
切っていると言っても、毛先を整えたりするくらいであって、美容師みたいに技術がある訳でもない。
口にするでもなく自分の中で誰かに弁解してみる。
が、勿論三人に聞こえる訳もなく。
とりあえず、デスが手を伸ばして、私の髪に触れる。

「毛先も…別にそんな痛んでる訳でもなさそうだな…鋏は何使ってんだ?」
「普通に、知り合いの床屋さんから譲ってもらった鋏を自分で研ぎながら…です」

無駄に敬語になりながら、答えれば、いつもより若干悪戯っぽい顔になるシュラ。
嫌な予感に冷や汗が流れる。
ちら、とディーテを見れば、口元に手を当てて、綺麗な笑顔を浮かべていた。

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