美容の会
美容の会
目の前には、食べるのがもったいないくらい可愛らしいスイーツ。
()ではないよ、ケーキとはくくれないお菓子たちもあるし、何かキラキラしてるから…。
って、誰にいい訳しているんだろうか、なんて思いながら、それを作ったと言う二人を見る。
デスは堂々と得意そうな顔で片頬をつり上げているし、シュラは視線を彷徨わせてはいるものの此方を伺っている。
いや、嬉しいのは嬉しいんですけど、何でこの状況になったかというのが一番の問題な訳であって。
「えっと、その…今日は、何かのお祝いですか?」
「おや、氷雨は覚えていないのかい?」
「…?」
突如現れたディーテの言葉に首を傾げて、何度か瞬く。
何かあっただろうか?
誕生日…は違うし…うーん、他にイベント事がある日でもないし…。
目の前のシュラは小さく苦笑した。
「わからないって顔だな。」
「でも、誕生日でもないし、イベントでもないし…」
「今日は何日だ?」
デスにいわれて、少し考えるが、今日の日付を答えた。
日付に関係している…となると、何かの記念日なのだろうか。
「…あ!」
「わかったか?」
「皆と出会って半年だ」
私の言葉に微笑む三人。
ディーテの相変わらず美しい微笑みとデスの珍しい純粋な微笑み、シュラのよく浮かべるようになった優しい微笑み。
三方向からのそんな視線に耐えきれず、目線をスイーツに向ける。
チーズケーキにザッハトルテ、マカロンにフルーツタルト、ドーナツ、クッキー。
美味しそうだ、と思っていれば、いつの間にか隣に来ていたデスが肩を叩く。
「つー訳だ、今日はお前の仕事もないことだし、ゆっくりしようぜ?」
そのまま席に案内されて、ぽかぽかする気持ちに笑う。
私と出会って半年を祝ってくれるくらいには、彼らに認めてもらえたのだ。
嬉しく思う気持ちは止められないもので…って、止める必要はないのか。
「ありがと、デス」
「ほら、氷雨の好きなローズティーだよ」
「わ、ディーテもありがとう」
鼻腔をくすぐる甘く、華やかな香りに目を細める。
デスとは反対側に立っているディーテが小さく音を立てて、私の目の前に紅茶を置いた。
机を挟んで正面に立ったシュラは、無表情のまま、皿に迷いなくスイーツを乗せていく。
それから、満足できたのか、視線を合わせてくる。
「違ったか?」
軽く首を傾げた彼に促され、皿を見る、とさっき食べたいなと思ったものだったり、私の好みだったり。
なんというハイスペック…!
「ふわ…ありがとう、シュラ!」