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頷いた私に、後ろ二人にも同じ質問をした。
二人とも大丈夫だ、と返したことで、彼女は嬉しそうに笑って、売り場に進んで行こうとする。
が、慌ててアイオリアがそれを止め、童虎と私に此処で待っていて欲しいと告げた。
そのまま、二人でチケット売り場に向かい、会計のときにアイオリアが財布を出している。
…ああ、そういうことですか。
そのままチケットを買って、帰って来た二人。
前もってお姉様が予定を考えていたのか、待ち時間は長くない。
「さおちゃんは何か飲み物飲む?あ、ポップコーン食べる?私キャラメルが好きなんだよね」
「まぁ!」
昔テレビで見た、ポップコーンを抱えて映画館に座る、アレですね。
ドキドキと胸が高鳴るのがわかる。
憧れていたそれのためにポップコーンは必要不可欠。
お姉様はそれがわかっているかのように、私の手を引いて、売店に並んだ。
「じゃあ、烏龍茶とアイスティー2つとコーラ、あと、ポップコーンの塩のMとキャラメルのMください」
店員さんにそう告げて、お金を払おうとするお姉様。
アイオリアが止めようとするが、お姉様はだーめ、と言いながらにこりと笑う。
「リアはさっきチケット代出してくれたでしょ?だから、此処は私が出すの」
ね?と可愛らしく首を傾げたお姉様に、目を見開いて真っ赤になるアイオリア。
ぎこちなく一度頷いて、店員さんの差し出してくれたポップコーンとアイスティー1つを持つ。
童虎もポップコーンと烏龍茶を持ち、私はコーラを持った。
お金を払って、ありがとうございます、と店員さんに微笑んだお姉様はアイスティーを手にする。
席に着いた時、お姉様がはい、とブランケットを差し出してくれた。
「足元冷えるかもしれないから」
それから映画が始まるまで、私たちはどんな映画なのかをお姉様に聞いた。
映画が終わり、未だにドキドキとする胸に手を当てる。
「素敵な映画でした!」
「本当?そう言ってもらえて嬉しいな」
実は、この映画、私の好きな小説なんだ。
と照れたように笑ったお姉様は、他の二人にも視線を向けた。
アイオリアは途中のヒーローとヒロインのキスシーンでテンパっていたように思う。
あと、童虎がアクションシーンを食い入るように見つめていたのは確認した。
ストーリーについて話しながら、連れられるがまま歩いていると、あるお店に着く。
そのお店は、お姉様曰く、隠れ家的オムライスのお店。
美味しくて、思わず笑みが溢れる。
先ほどの映画の話をしながら、4人で話が尽きない状況であったが、ふと気がついたようにお姉様が立ち上がった。
少しお化粧直してくる、と告げた彼女は数分で帰ってくる。