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渡されたそれは、悩んだもう1つの香水で。
男前なんだよなぁ、と思いながら、シュ、とその香りを纏う。
それから、くんくん、と鼻を動かす…うん、いい香りだ。
「ありがとう、ディーテ」
そういえば、彼は少し驚いたようにしてから、首を左右に振った。
「どういたしまして。じゃあ、二人が待ってるだろうし、行こうか」
「ん、二人は気がついてくれるかなぁ?」
「気がつくよ、二人とも、敏感だからね」
楽しそうに笑ったディーテの言った通り、双魚宮に入って、すぐあったシュラに香水か?と聞かれ。
料理を作ってくれたデスにも、食事前になんか付けてんのか?と言われ。
食事の後の休憩の時間に笑った。
「ディーテに貰ったの、いい香りでしょう?」
「…へぇ?アフロにねぇ?」
デスが意味深な表情を浮かべて、笑う。
その表情にキョトンとしていれば、シュラがよしよし、と頭を撫でてきた。
顔を見上げれば、小さく笑って、お前は気にするな。と告げられる。
コクリと1つ頷いて、3人は何か付けてるの?と問いかけた。
「んあ?俺は休みだけ付けてるぞ」
「私は薔薇の香りが染み付いてるから付けてないね」
デスとディーテはニコニコ笑いながら答える。
シュラが答えてくれないので、顔を近づけてくんくんと鼻を近づけた。
「シュラは安心する匂いだよね」
それで、ディーテは優しい香り。と笑って彼の方を見れば、そうかい?と微笑む姿。
俺は?と話に入ってきたデスに、デスはヤニの匂いしかしないです、と最近気がつくととれている敬語を意識的につけた。
反論してきたデスをディーテが止めている間に、シュラがそっと耳元で囁いた。
「氷雨、今度、腕時計を買いに行くか?」
「ん、覚えててくれたんだ、でも、いいの?」
腕時計も、香水のように欲しいもの、と小さく零したもので、嬉しくなる。
「勿論だ」
「って、そこ、何いちゃついてんだ!」
「シュラ、君も油断ならないね」
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あとがき
前サイトで、闇猫さまに捧げたものです。