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私の高々それだけの情報で彼は案内がついているかのように歩く。
そして、君にあいそうなのはこれかこれかこれだね。と3つ差し出してきた。
が、残念ながら既に鼻が麻痺しているのか、匂いの判別が出来ない。
自分の匂い嗅ぐといいって本当なのかな、と思いながら、一度口元を手で覆う。
何となくリフレッシュした気がする…だけかもしれないが。
「…これか、これ、ですかね」
二つを目の前に残して、悩んでいるまっただ中だ。
1つは少し匂いが似ていたので、より好みの方を残して、よけた。
「こっちの方がラストまで氷雨に似合う気がする」
「じゃあ、ディーテの言う通りこっちを買います」
お勧めされた方を手に取って、購入。
少し買いたいものがあるから待っててくれるかい?と言われれば待っているしかない訳で。
用が終わってすぐ、彼は行こうか、と私の手を取った。
そのまま、色々なお店に連れて行ってくれて、疲れたと思う前に適度な休憩を取ってくれて。
「…」
「何だい?」
正面でアイスティーを飲みながらにこり、笑う彼と目線をあわせる。
少し悩むようにして告げた。
「…エスコート慣れてるなぁ、と思いまして」
「ふふ、嫉妬かい?」
まさか、と首を振る。
ディーテの隣に並んだであろう女性たちはきっと美しくて、私の場合、確実に嫉妬を通り越す気がする。
なんて思いながら、たくさん買ったお皿や服に視線を向けた。
ディーテが普通に持ってくれるので、申し訳ないと思いながらも有り難く買わせてもらいました。
「そろそろ、帰りましょうか?」
「おや、もういいの?」
「はい、満足です。それに、今日はデスの料理でしょう?」
それもそうだね、と楽しそうに笑った彼と聖域に帰る。
デスの料理を食べる前に、部屋に荷物を置かなくちゃ、と部屋まで送ってもらう。
「今日はありがとうございました。とても楽しかったです」
「それは私の台詞だよ。はい、今日のお礼」