正義・番外編 | ナノ



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昼食も食べ終えて、午後4時。
笑顔でノルマをクリアした5人に苦笑しながら、メイドさんから浴衣を受け取る。
…私の紅いんですけど。
紅に黄色と紫の蝶が描かれていて、別に嫌じゃないけど…派手じゃない?
なんて思いながら、着付ける。
荷物を持って、玄関にいけば、中学生と高校生には見えない無駄な色気を醸し出す少年たち。
…お姉さん、一緒に歩く自信ないんだけど。

「氷雨さん、お綺麗です」

柔らかく微笑んだ紫龍君は、白地の浴衣…だが、白と黒のコントラストで龍が描かれている。
迫力のあるものだが、なんだろう、きっとモデルさんより上手く着こなしてると思うよ。

「ありがと。紫龍君こそよく似合ってる、見惚れちゃいそうだよ」

言えば、彼は照れたように少し頬を染めて、ありがとうごさいます、とはにかんだ。
氷雨さーん、早くいこうぜ!と私の手を取ったのは星矢君で、風神と雷神の描かれた甚平を着ている。
…うん、似合ってるんだけど、いや、何も言うまい。
中学でもきっとモテてるんだろうなぁ、なんて思うくらいには似合ってる。
ちなみに甚平は彼一人で、あとの3人は浴衣だ。
瞬君は少しクリームがかった白に、黒で三日月、紺で星、水色で天の川が描かれている。
女物でもよかったんじゃないか、なんて思ったが、流石に怒られるか、と口をつぐんだ。
氷河君は…うん、似合ってるから良いものの、何処で買った?!と聞きたくなるような光沢のあるヒョウ柄の…紺?
ちなみに帯はクリムゾンレッドで、シルバーアクセサリーとかついてても可笑しくない。
むしろついてる方がしっくりくるんじゃないかなぁ、なんて思いながら綺麗にまとめあげられた金髪を見上げた。
…ぱっと見ただけだと、チャラいと思います、モテそうだけど。
最後に一輝君だが、まあ、定番、というのだろうか。
黒でシルバーの細い格子柄で、そこらの成人男性より色気があるんじゃなかろうか。
いや、本当に、高校2年生とは思えない、確実に大人のお姉さんにナンパされると思う。

「早く!」
「はいはい、行きましょうね」

急かす星矢君に手を引かれながら、玄関に向かう。
仕方ないなぁ、と言うように呆れながらついてくる彼らを確認してから、繋いでない方の手を振った。
瞬間、慌てたように走ってきた彼らは、着慣れていないからか、または着崩れするのを恐れてか、いつもよりゆっくりだ。
最初に私と星矢君の元に到着したのは紫龍君で、綺麗に笑って、私の手を取った。
後ろは瞬君を真ん中に氷河君と一輝君がいる。
どことなく不機嫌そうな顔に苦笑して、後で奢ってあげるから、と声をかけた。
約束だよ!と最初に答えたのは中央の瞬君だ。
左右の氷河君と一輝君も静かにコクリと頷いた。

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