「結婚詐欺だなんて人聞きが悪い」
九兵衛は憤慨していた。折角思い付いた自分の素晴らしい未来計画を、詐欺呼ばわりなんてと言いたげに新八を隻眼でじろりと睨む。その迫力に新八は言葉に詰まるが、此処で負けては入籍を約束させられ兼ねられない。意を決して言葉を絞り出す。
「詐欺でしょう。姉上と暮らしたいからと云って、僕と籍を入れるだなんて」
「お前ヨー、籍位あげちまえヨ。ケチケチしないで。九ちゃんが可哀想ダロ」
「いや、可哀想なのは僕だからね神楽ちゃん」
「まぁまぁ、お前も画面の中のあの子とお通ちゃんに専念出来るし、良いんじゃね?あげちまえよ籍の一つや二つ」
「いや、一つしかないから」
九兵衛がきょとんとした顔で三人を見詰める。
「何を言ってるんだ?僕は新八君も幸せにするつもりだが」
衝撃的な発言であった。少なくとも万事屋の三人にとっては。
とりわけ新八は可哀想な位取り乱していた。声にならない声を上げてかたかた震えている。
「お、おい。新八…大丈夫」
「ぽォォォォォォオオ!!!」
「新八がぶっ壊れたアルゥゥゥウ!!」
奇声を上げて泡を噴く新八に、神楽は呆れた様子で吐き捨てた。
「ちッ、コレだから童貞はしょっぺェアルな」
「ねェ、神楽ちゃん。銀さんが悪かった。ねぇ、俺が悪かったから何かもうそれ以上変な知識入れないでくれない?びっくりするわ、最近」
「だってヨー、銀ちゃん」
「はいはい、取り敢えず……此方のお嬢さんの話しの方が先決だ」
銀時は神楽の頭をぽんと叩くと、九兵衛に向き直る。新八が居なくなった今の方が話しが聞きやすいのではと思った為だ。
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