すると、見知った相手が背を壁に預けて煙草を更かしているのが見えた。雨だというのに起きてきたのだろうか。騒がしかったと申し訳なく思って、声をかけようとするが最初に彼が口を開いた。




「何考えてるかは知らねーが、くだらねーこと考えてんじゃねェ、殺すぞ」
「はは、今の三蔵に言われるとシャレにならないですねェ」

「本気だからな」

事も無げにいう三蔵がいつも通りで、すこし可笑しい。何時も通りのそれが何より自分を落ちつけた。
三蔵はそれだけ云うと再び自室へと戻っていく。雨音はもう聞えない。暫くしたら悟空も部屋へと戻るだろう。

三蔵と分かれてベランダに出る。
雨上がりの湿気を含んだ生温かい空気が少々不快で、上手くいかないものだと一人笑う。


「なに、ニヤけてんの。やーらしー」
「…まったく、覗き見はいやらしくはないんですか?」
「見えちゃったモンはしょうがねーだろ」


一人だと思えば、後ろに悟浄が居た。
煙草だと見せてはいるが、彼の性格は良く知っている。上げ足はとる事はせず、隣に並んで煙を肺に入れようとする相手を素直に迎い入れた。

「ンで、なんか解決したワケ?」


顔を覗きこんで、悟浄はそう聞いた。
自分の表情がすっきりしていたのが、伝わったのだろう。
全く自分は現金だと思いながら、八戒は『独り言ですけど』と前置いて、口を開いた。



「僕たちは西が最終目的じゃなくって。僕にはその後のビジョンもちゃんとあったりするんです」
「肝っ玉かあちゃんにケツ引っぱたかれて、子供と楽しくやるってアレ?」
「ええ、悟浄おじさんには気をつけると言うアレです」


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