ライバル出現?
ちょっとコンビニにアイスを買いに行こうと、夜だけど外に出た。その途中の空き地の傍を通り掛かった時、物凄い殺気を感じて身を潜めた。気配を殺して空き地の方を窺うと、二つの人影。紅麗と……確か裏麗の…変態。
「何者だ?」
「誰でも関係無いでしょ?貴方はこれから死ぬんだから。」
「何?」
「カオリンを道連れに消えたかと思ったら、帰って来て烈火くんまで独り占め……ふふ、ふふふ……ふざけんじゃないわよ○○○野郎!!」
紅麗が横に跳んだ直後、紅麗が先程まで立っていた地面が弾けた。
銃をぶっ放してるみたいだけど、サイレンサー付きなのか音が聞こえない。
(と、とんでもねぇ所に遭遇しちまった……!)
紅麗を加勢したいのは山々だが、正直あのオッサンには関わりたくない。
それに、いくら紅麗が炎を使えない上に、相手が銃火器使って来てるって言っても、紅麗が負けるとは思えない。ので、申し訳ないけど、静観させて貰うことにした。
「アンタなんて、ついこの前まで烈火くんに嫌われてた癖にぃ!ズルイズルイズルイわぁぁ!!」
いや、嫌ってたのは紅麗の方で俺じゃない。主語が入れ替わるとは、変態フィルター恐るべしだ。そして思った通り、あっさりケリは着いた。
オッサンが胸に隠し持ってた、というより内蔵されてた銃から飛んでくる弾を華麗に避けながら、紅麗が何かを投げた。と思った次の瞬間、オッサンの胸が爆発(?)。どうやら紅麗が投げた何かが銃口に詰まって暴発したらしい。
膝を折って蹲るオッサンに紅麗がにじり寄る。
「何よ……殺すなら、さっさと殺しなさいよ。」
「………」
しかし、一瞬の沈黙の後、紅麗は踵を返した。
「……何で殺さないのよ。私、またアンタのこと襲っちゃうかもしれないわよ?」
「貴様のような人間でも、死ねば烈火は悲しむからな。貴様も、烈火を泣かせるのは本意では無いのだろう?」
「……当たり前じゃない。」
「烈火を思うなら、自分の身を大切にすることだな。」
「……アンタ…。」
(〜〜〜っ!)
かかか格好良い!
何だ、あれ!格好良過ぎるだろあの紅麗!!やべぇ、照れる!それにしても、薫のことにはノータッチって……言外に、薫はオッサンの存在を何とも思ってないぞ、って聞こえるんだけど…。(俺だけか?)
いや、そんなことより、オッサンの顔が遠目にも赤らんでいってるのが嫌な予感だ。激しくデジャブ。あれは、何かヤバい兆候な気がする。
「紅麗さん!貴方には烈火くんがいるのは解ってるわ!でも、でもね…!」
(やっぱりか!)
予感的中。がばっと両腕を広げて紅麗に飛び付こうとしたオッサンへ向かって、堪らず地を蹴った。
「二号でも構わないから「死ね!変態!!」
「ガフォッ!!」
(殺して良かったのか…。)
(可愛い男の子でも無いのに、こんなに好きになるなんて、運命だと思うの!)
(ざけんな!紅麗は俺んだ!!)
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