兄の経歴
『おとっつぁん、お粥できたわよ。』
『おぉ、あんがとな。いつも苦労かけるなぁ。』
『もう、おとっつぁん、それは言わない約束でしょ。』
食事中、全く見ていなかったテレビから、そんな会話が聞こえてきて、そちらに視線を向けた。
隙間風だらけの家。
汚れた着物。
身体を壊した親。
作りは粗かったが、私の忌まわしい記憶を呼び起こすのには十分過ぎる映像に不快感を覚え、瞬時にチャンネルを変えた。
烈火「あーっ!何で変えるんだよ!」
紅麗「喧しい。あんな不愉快な番組、これ以上見れるか。」
烈火「あんだよ!テメー、○リフ○ーズ馬鹿にしてんじゃねぇぞ!」
薫「烈火兄ちゃん、ド○フじゃなくて志○けんだよ。」
紅麗「ドリ○だろうが○村だろうが、どちらでも構わんが、目障りだ。大体、あれを実際に経験したことの無いお前に私の気持ちが分かってたまる――」
烈火「っしゃ!リモコン取ったりー!!」
紅麗「っ貴様!」
烈火「遅いぜ、紅麗!はーい、バ○殿見まーす。」
紅麗「烈火、貴様……人を不快にさせて楽しいのか!」
烈火「お前ぇの嫌な思い出なんざ関係ねぇもーん。」
紅麗「きさ……」
『っげぇふごふげふがはっ!』
『きゃー!おとっつぁん、大丈夫?!』
『だ、大丈夫、大丈夫。気にすんなぁ…。』
チャンネルが戻り、映ったのは娘に踏まれる父。熱湯がかかる父。とにかく娘に酷い目に遭わされる父。
紅麗「…………」
薫「…………」
茂男「はー、何だ、お前ぇ元は芸人志望だったのか?」
烈火「ふーん、麗ってコントもすんのか?」ニヤニヤ
紅麗「そんな訳があるか。」
薫「そんな訳ないじゃん。」
陽炎「烈火も紅麗も、取り敢えず座りなさい。」
紅麗ファンの皆様、済みませんでした。
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