兄たちの攻防
?「こんにちは〜。」
風子「おっ邪魔〜。……あらん、紅麗までいるじゃないの。」
薫「風子姉ちゃん!いらっしゃーい!」
烈火「おー、風子。……あっ!兄ちゃん!!」
薫「え?」
紅麗「は?」
風子「おーおー、すごい食付きだこと。……あ、あれ、うちの兄ね。」
薫「えぇ?!」
紅麗(……ヤンキーではないのだな…。)
霧沢兄「やぁ、烈火くん。久し振り。」
烈火「うわぁマジで久し振り!な、な、今日はどうしたんだ?」
霧沢兄「うん、実はね、大学の友達と旅行に行ったから、そのお土産持って来たんだ。」
烈火「マジで?サンキュー!なぁなぁ、旅行ってどこ行ったんだ?」
霧沢兄「えーとねー…」
紅麗(何だ、この懐きようは…。)イラッ
薫(耳と尻尾の幻覚が見えるんだけど…。)
霧沢兄「ところで、そっちの人たちはどちら様かな?」
烈火「あっ、そうだった!実は俺、兄弟できたんだぜ!」
霧沢兄「え、そうなんだ?それは凄いな。良かったね。」
烈火「おう!えーと、こっちの小さいのが弟の薫で、そっちの仏頂面が兄貴の紅麗。」
薫(小さい…。)
紅麗(仏頂面…。)
霧沢兄「薫くん?ってもしかして、制服貰ってくれた子かな?」
薫「え?あっ、はい!」
霧沢兄「そっかぁ。じゃ、中学生なんだ。確か願子ちゃんの知り合いなんだってね。また家にも遊びに来てね。俺、いるか分からないけど。」
薫「は、はい!機会があったら行きます!(うわぁぁぁ優しい優しいよ〜!)」
風子「あらーカオリンってば、照れちゃって可愛いわね〜。」
紅麗(…………)イライラッ
霧沢兄「えーと、烈火くんのお兄さんですよね?はじめまして、風子がいつもお世話になってます。」
風子「ちょっとー、私、紅麗にお世話になった覚えなんてないわよ?」
紅麗(全くだ…。)
霧沢兄「やー、でも良かったね、烈火くん。優しそうなお兄さんで。」
烈・風((優しそう…?))
霧沢兄「昔から烈火くんは兄弟が欲しいって言ってたんですよ。特にお兄ちゃんが欲しいって、いつも言ってて。」
烈火「ちょっ、兄ちゃん!んなこと言わなくていいだろ!!」
紅麗「へぇ、そうですか…。」イライライラッ
薫(紅麗……殺気が…。)
風子(この紅麗に動じないとは……さすが兄貴、鈍い…。)
霧沢兄「せっかく知り合えた訳ですし、これからは兄同士仲良くして下さいね。」
薫(……握手…。)
風子(嫌な予感…。)
紅麗「えぇ、此方こそ……よろしく頼みます。」
ギュッ……ゴキン!
霧沢兄「い゛ぃっ?!」
烈火「ちょ紅麗ーっ!お前ぇ何やってんだ!?」
紅麗「ふん……。」
風子(やっぱり…。)
薫(……あーあ…。)
握手の瞬間の紅麗は、誰も見たことが無い程爽やかな笑顔だったという。
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