2
「なぁ、雷覇は何で俺とこんなことすんの?」
行為が終わって、ベッドでまったりしてる時に、常々気になっていたことを聞いてみた。
「何故ですか?」
「いや、だって……」
質問を質問で返されて、思わず言い淀む。
何故なら、
「だって、お前ぇも、紅麗のこと好きなんだろ?」
と思うからだ。
雷覇が一瞬目を見開いて、それから力無く微笑った。
「何故、そう思いました?」
「何でって…。」
平たく言えば、勘に近い。
何となく、そうなんじゃないかって。
ただ、根拠って訳じゃないけど……時々、雷覇は俺を見てない気がするのだ。
俺もそういう時は、多分ある。
それは大体、紅麗のことを考えてる時で、思考というか意識丸ごと飛んでいってしまう。でも、そうやって紅麗のことを思い出すのはやっぱり苦しくて、あんまり考えたくないから、だから俺は雷覇にすがる。強く抱き着いて、ちょっとの間だけでも、考えないで済むようにって。
だから、もしかして、雷覇も俺と同じなんじゃないかと、そう思ったのだ。そして、雷覇が思う相手なんて、やっぱり紅麗しか思い付かなくて、やっぱそこも同じなんかなって。
……思ったんだけど、結局全部俺の憶測でしかない。
「んー……勘、だな。」
だから、やっぱり勘と答えるしかない。
「勘ですか…。それはまた、随分と並外れたシックスセンスをお持ちですねぇ。」
「じゃ、当たりなのか?」
そう言ってヘラヘラと笑う雷覇は、相変わらず何を考えてるか解らなかったが、言葉尻だけ捉えれば肯定と取れる台詞を洩らした。
「……軽蔑しますか?」
だけど、その次には、とてもとても哀しそうに微笑いながら、少し不安気にそう聞いてきたもんだから、―――何だか、俺にも分かってしまった。
やっぱり、雷覇は俺と同じなんだろう。
紅麗が好きで、会いたくて寂しくて、だけど、この思いが叶う筈もないと知ってる。……多分、叶えるつもりもないと思う。
そして、それを多分、俺にだけは知られたくなくて、でも知って欲しくて、苦しかったんじゃないかとか。
だって、雷覇が傷の舐め合いを望むとは思えない。でも、こんな思いを共有できるのは、吐き出せるのは、俺しかいない。
……俺も、雷覇だけだ。
「すると思うか?」
「……いいえ。」
安心したように笑った雷覇の顔が近付いてくるのを、目を閉じて受け入れる。
―――随分と馬鹿げたことになってしまったと思った。
けど、それでも、雷覇と居るのは心地良かった。
<< >>