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「なぁ、雷覇は何で俺とこんなことすんの?」


行為が終わって、ベッドでまったりしてる時に、常々気になっていたことを聞いてみた。


「何故ですか?」

「いや、だって……」


質問を質問で返されて、思わず言い淀む。
何故なら、


「だって、お前ぇも、紅麗のこと好きなんだろ?」


と思うからだ。
雷覇が一瞬目を見開いて、それから力無く微笑った。


「何故、そう思いました?」

「何でって…。」


平たく言えば、勘に近い。
何となく、そうなんじゃないかって。
ただ、根拠って訳じゃないけど……時々、雷覇は俺を見てない気がするのだ。

俺もそういう時は、多分ある。
それは大体、紅麗のことを考えてる時で、思考というか意識丸ごと飛んでいってしまう。でも、そうやって紅麗のことを思い出すのはやっぱり苦しくて、あんまり考えたくないから、だから俺は雷覇にすがる。強く抱き着いて、ちょっとの間だけでも、考えないで済むようにって。

だから、もしかして、雷覇も俺と同じなんじゃないかと、そう思ったのだ。そして、雷覇が思う相手なんて、やっぱり紅麗しか思い付かなくて、やっぱそこも同じなんかなって。
……思ったんだけど、結局全部俺の憶測でしかない。


「んー……勘、だな。」


だから、やっぱり勘と答えるしかない。


「勘ですか…。それはまた、随分と並外れたシックスセンスをお持ちですねぇ。」

「じゃ、当たりなのか?」


そう言ってヘラヘラと笑う雷覇は、相変わらず何を考えてるか解らなかったが、言葉尻だけ捉えれば肯定と取れる台詞を洩らした。


「……軽蔑しますか?」


だけど、その次には、とてもとても哀しそうに微笑いながら、少し不安気にそう聞いてきたもんだから、―――何だか、俺にも分かってしまった。

やっぱり、雷覇は俺と同じなんだろう。
紅麗が好きで、会いたくて寂しくて、だけど、この思いが叶う筈もないと知ってる。……多分、叶えるつもりもないと思う。
そして、それを多分、俺にだけは知られたくなくて、でも知って欲しくて、苦しかったんじゃないかとか。
だって、雷覇が傷の舐め合いを望むとは思えない。でも、こんな思いを共有できるのは、吐き出せるのは、俺しかいない。
……俺も、雷覇だけだ。


「すると思うか?」

「……いいえ。」


安心したように笑った雷覇の顔が近付いてくるのを、目を閉じて受け入れる。

―――随分と馬鹿げたことになってしまったと思った。

けど、それでも、雷覇と居るのは心地良かった。


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