#03

「おう、ご苦労様。仕事は今日はこれで終わりだから。
 このあと、雲月の若頭と"デート"入ってるから。頑張れよ!」

 そう上の姉は笑う。


「……は?」
「え、デート。夫婦になるんだし2人で話したいこととかあるじゃない!」


 ーーーーなんでも私、これから嫁入りすると今朝知らされそしてデートまですぐに行かなくてはならないらしいです。


 つっら。
 めんどくさ。連チャンだる。
 

「もうすぐでいらっしゃるらしいから。失礼の無いように、ね?」
「はあい。」


 またりたくんの部屋に駆け込みたいのを必死に抑えて仕方なくちふみさんでもひっかけてお出迎えしようと思いちふみさんの部屋に向かった。



「おい」
「ああ、探してた」
「そうか俺もだ。ほら、はやく部屋行くぞ」


 腕を引かれて私の部屋。あれ、お出迎えは?


「着替えろはやく。髪と化粧はするから」
「…?」


 しきたりなのかなんなのか、客を迎えるときは和服、が定番なのだが、というかうちは和装が好きだからいつも通り仕事用の和装をしていたのだけど。

 ポイポイとだされる普段着?私服?
 遊びに行くときの服をだされる。

 よくわからないままに着替え、よくわからないままに化粧される。


「やべ、もう来たか。」

 最後にグロスを塗りたくられてまた腕を引かれて客室へ向かった。
 …ん?なん?え?


「お待たせして申し訳ございません。」


 深々と頭を下げるちひろさんにならい私も頭を下げる。


「あ、いやいや、こちらこそ!急にすいません!うちの父相手の都合とか本当考えられない人で…!」

 へりくだる、客人。
 言われて、ようやく頭を上げる。

 私の嫁入りさき、雲月の若頭、雲月まきる様がいらっしゃった。


 雲月家。
 吸血鬼で最もの権威を誇る最大の名家。
 最近の不景気によりいろいろ厳しくて仕方なく?でしょうね、柳杜家と合併することを決断したらしい。
 歳が同じだったのもあるのかもしれないね。
 とにかくNo.1吸血鬼のお坊ちゃん。

 吸血鬼は基本地毛は黒である。けれど雲月は逆。黒髪が生まれない。
 それはたとえどんな種の吸血鬼と子をなそうと、どんな種の妖と子をなそうと、決して相手の特徴を反映することはない、絶対的優勢細胞。
 それが、No.1である由縁。

 そして、私の、嫁ぎ先―――


「じゃあ、行きます?」
「そうですね。」

 相手が立ち上がったので、着いて行く。ちふみさんはその場でお見送りらしい。奈栖、失礼の無いようにな。そう言って若頭にそんな!と謙遜されていた。


「あ、えっと、一応。雲月まきる。17。襟の木高校の2年生、です。」
「あ、どうも、柳杜奈栖、16、の、舞滝の2年です。」
「よ、よろしくお願いします」
「はい…ってあれ?」
「え?」

 まあ一応の自己紹介をお互いしつつ。
 不意に予想外に若頭が角を曲がる。

「え、玄関こっちでしたよね?」
「ええ玄関は…」

 2人して、きょとんとしてしまう。
 そして一拍。
 気がついた様に若頭があ!と手を叩いた。

「違いますよ!"客"として来たんじゃ無いです!言って無かったですね、ごめんなさい!本当にかけねなく"デート"です!
 …外で普通に遊びましょ?」
「…!」

 おっといけねえ思い込んでた。
 若頭は照れたように笑う。
 可愛らしい。

「えっ、ごめんなさい、私てっきり"食事"かと…!ふっ、」

 そういやよく考えりゃちふみさんの行動も全部そうだった。
 ガチで思い込みすぎてつい笑が漏れる。やべえ私どんくさいw


「いやいや、こちらこそわかりずらくてすいません」
「いや、私以外は多分わかってましたから、あははw」
「wwww」

 2人してケラケラ笑いながら玄関を出た。


「ああ、そうだ。よかったら敬語無しで話してくれませんか?」

 若頭がいう。

「あら、そう?ならそーする。お言葉に甘えて。若頭も是非ためで」
「うん、ありがとう。あ、それと若頭やめてくれたら嬉しいな」
「そう?じゃあまきるさん?」
「んー…敬称略で行こうよ」
「まきる?」
「うん。」
「あ、じゃあ私もそれで」
「奈栖…ちゃん?」
「?!敬称略の話しは?!」
「え、な、なんかだって恥ずかしい…!」
「えっじゃあ私もちゃんつけて呼ぶからね?!まきちゃん!って!」
「女の子みたいだろ!」
「分かっててやってますw」
「ちょwwwww」
「で、どーする?」
「な、…奈栖、…ちゃん。」
「おっけい!よろしくねまきちゃん。」


 客として来たときももちろんあるので彼が堅苦しいのが嫌いなのは知ってる。
 「別に2人しかいないんだし、硬くなんないでください。俺つい息苦しくなっちゃって、」
 なんて言い出した始めてのひとだった。まさか同等に見ているかのような口振りは珍しくて、よく覚えている。
 

ーーーーーー

「まきちゃん…」
「え、なに…?」
「ラブポとかよく食えるね…」


 結論。
 2人とも揃ってヒキニートでした。
 よって、少し歩いたてーどで疲れて現在サーティーワンでたむろなう。


「えっ…美味しいじゃん食べる?」
「もらうけど。私のも良かったらどうぞ?レモンソルベですけど」
「あっさりしてるねー」
「ををを甘……!」


 私女の子落とすのに必死でっていうかどっちかっつうと女の子のが好きなもんで彼氏とか(まあ作っていい訳じゃ無いんだけど)作ったこと無かったしあれなんだけどね…うん。

 まあまきちゃんも盛大に女の子慣れしてなさ過ぎてわろたwって感じで。

 お互いよくわからない同族意識を持ってしまったのだよ。w
 上手くやっていけそうな気がするww
 という意見で満場一致した。


「次どっかいくー?」
「もうちょい休憩ー…いいじゃんコミュニケーション大事だよ」
「ワァ俺コミュ障だから……!」
「おまおれー!」
「大丈夫大丈夫今んとこちゃんと続いてるし!と淡い期待をしてみるw」
「wwwwじゃーなんの話しする?」
「わあ俺に話題をふらせる気ですね!」
「いえす!www」」


 そんなこんなでただのお友達感覚で楽しく遊んで帰りましたとさめでたしめでたし!笑


end,

結局、引きこもりが2人集まったところでどこかの店に引きこもるだけなのです。

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