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――数年後


『みんなで、ここにくるのは久しぶりだね』


そうだねと征十郎が穏やかに笑う。楽しそうでうれしそうで、そしてしあわせそうな笑みはいつかの征十郎の笑顔よりも、もっとずっと。わたしたちのしあわせは、いつだって「ここ」で花開いて、微笑みを浮かべているんだ。みんなも、やがて花のような笑顔で微笑む。


――俺はお前たちと出会えて、本当にしあわせだ。


そう、これは夢にまでみた未来のお話。いつかきっと叶うとあの子が願い続けた、いつかの、しあわせなゆめのお話。


「ふふ、みんな勿論分かっていると思うけれど」
「ふっふー!!あったりまえだろォ!!!」
「俺、絶対負けねーかんね!!」
「俺のシュートは落ちん!!俺もお前らには負けないのだよ!」
「今日こそみんなよりも俺のほうがすごいって証明してやるっすからね!!」
「わああい!またみんなのバスケを見れるなんてうれしい!!」


テツヤが、やっと、笑った。


「みんなでバスケを、しましょう!!!」




流れ星に願いを託してでも、
いもしない神様に願ってでも、


叶えたかった想いが実を結ぶお話
寒い土の中で雪融けを願う 小さな小さな花にも似た、
今はまだ誰も知らない、 いつかの、しあわせな花のお話




『おーし!今日はわたしも参戦しよっかな!あと、さつきもね!!!』





" ただいま "


――いつかまた、きっとぼくらはきみに「ただいま」を告げる、きっといつか。








赤司編:"Home, sweet home"
start:130228
end:130413



*『花に嵐のたとえもあるぞ さよならだけが人生だ』
于武陵の五言絶句「勧酒」、後半『花發多風雨 人生足別離』部分の井伏鱒二の名訳。響きを優先いたしまして原文『あるぞ』の部分を『あるさ』に改編させていただいてます。


こちらのお話はまた別のお話へと繋がっていきます。赤司の家庭環境を多大に捏造したお話で申し訳ありませんでした。なお、このお話以降のお話では赤司とあの子はみんなを下の名前で呼ぶことになりますので、ひとつの目安としていただければ。とにもかくにも、ひとまず赤司編:"Home, sweet home"はこれにて完結とさせていただきます。読了ありがとうございました!