「ったくなんなんだよ!あいつ本当相変わらずだな!」 「落ち着いてください、青峰くん」 「赤ちんはさすがだよね〜」 「ギャハハハ!それにしても赤司ってほんとすげえやつなんだなー!」 「うるさいのだよ、高尾」 「チッ!なんで俺まで呼ばれなきゃならねーんだよ!」 「アンタはいいじゃん!俺なんて今日本当は撮影だったのにぃ〜」 「黄瀬なんかまだいいじゃねーか!俺なんかアメリカから急きょ帰国したんだぞ!」
「もー!みんな落ち着いてよ!そろそろ赤司くんたち着くってー!」
桃井さんがそういうと、みんなは一斉に赤司くんへの文句を言うのぴたりとやめた。その有様に、思わずボクと桃井さんは顔を見合わせて笑ってしまった。あーあ、なんだかんだみんな中学の頃と全く変わってないんですね。勿論、今日は帝光中以外のひともいるけれど、まるで昔に戻ったようでとても懐かしい。
「ていうか、何なんだよ、赤司ってまじで」 「ほんとだよなー!『不参加・遅刻は原則として認めない。来なかったやつはお前らでも殺す』ってなに!物騒すぎだろー!!」 「うるさいぞ高尾。赤司はそういうやつなのだよ」 「火神くんと高尾くんはびっくりしたでしょうね」 「一瞬、恐怖のメールかと思ったし〜」
みんなはそうやって笑っていたけれど、たぶん赤司くんが『殺す』なんて物騒な脅し文句を使わなくてもきっと来てくれたと思う。高校三年間、全国で競い合ったみんなだから、それぞれに因縁があって今日を楽しみにしていたのは誰もが同じだろう。ここにいる全員が楽しみにしていたのは確かだ。だから、みんな予定があっても今日のこのためにここに来ているし、誰一人遅刻なんてせずに、むしろ逸る気持ちからかみんなが時間の三十分前には現地に集合していた。特に意外だったのは、一番初めが青峰くんだったことですけど。さすがに、そういうところは変わっていないのだとボクは少しだけうれしくなった。
だけど、きっとそれだけじゃない。
「てか、久しぶりに伊藤っちとバスケできると思うと楽しみで仕方なかったッスー!」 「うるせえ、黄瀬。あいつをぶちのめすは俺だ」 「何を言っているのだよ、俺に決まっているだろう」 「ハッ!お前ら未だに伊藤に固執してんのかよォ」 「もー!みんな千加ちゃんは女の子なのよ!」
そう言って諌める桃井さんもほんとうにうれしそうで、そんなみんなの様子にボクも紫原くんと一緒に思わず声を上げて笑った。高尾くんは珍しく闘争心むき出しの緑間くんに爆笑していて、火神くんは火神くんで高校時代を思い出したのか、帝光のみんなと同じように燃え上っていた。みんな、きっとこの日が来るのを本当に楽しみにしていた。中学、高校と共に肩を並べて、バスケというフィールドにおいてボクらはつながっていた。今はもう大人になって進学したり就職したり、それぞれがバラバラに別々の道を生きているけれど、それでも今日こうやって集まれたのは本当に幸運なのだろう。
「でも、一番今日を楽しみにしていたのは赤司くんなんだろうね!」 「そうでしょうね。何せ、今日の主催者ですからね」 「あいつ、本当伊藤が好きなのな」
ああ、早くこないだろうか。みんなみんな、キミがやって来るのを心待ちにしていますよ。
121218 グッデイ 1
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