わたしの幼馴染の要ちゃんは、女の子みたいにとてもかわいいです。


みんなも要ちゃんをかわいいと言っているけど、いや、確かにとってもかわいいんだけど、でもほんとはとてもかっこいいことをわたしは知っています。


でも、それは誰にも知られたくないわたしだけの秘密です。







「おまえ、女みたいな顔してんじゃねーよ!」
「おまえほんとに男かよー!」
「ふはは!実は女なんじゃねーの?!」
「……」


かなめちゃんは、とてもかわいいから、よくガキ大将のよっちゃんその他とりまきヤローにいじめられていた。わたしは、それがとても許せなかった。だって、「かわいいのは愛でられるべきであって、決していじわるするだなんてありえないことだわ!!!」って、ママも言ってた。


「なにやってるの!!!よっちゃん、ちょうダセ〜よ!」
「……幸?」
「うっわ!!!幸じゃん!」
「なんだよ、幸!おまえに関係ねーだろ!」
「かなめちゃんにいじわるだなんて、バァカじゃないの!!?」
「うるせーな!!こいつが女みてえだからいけねーんだろ!」
「わたし知ってるよ!よっちゃん、かなめちゃんが好きなんでしょ!?かなめちゃんはとってもかわいいけど、かなめちゃんは男の子だから、くやしくていじわるするんでしょ?」
「え」
「まじかよ、よっちゃん」
「よっちゃん、まじかよ」
「ななななななに言ってんだよおまえ!!!」
「ほらズボシだ!」
「ちちちちちげーよ!!そんなわけねーだろ!」
「そんなのかっこわるいよ!よっちゃんかっこわるいよ!!!」


ううううううるせーよ!!!幸のバァカ!!と泣きながら逃げるよっちゃんと、それを追いかけるその他とりまきは、つかんでいたサラサラなかなめちゃんの髪から手を放して、どこかへ行ってしまった。あちゃあ、よっちゃん、まじだったのかあ。それはちょっと、悪いことしちゃったのかな。


「かなめちゃん、だいじょうぶ?」
「うん、ありがとー幸」
「かなめちゃんはたしかにかわいいけど、気にしちゃダメだよ」
「…うん」
「かなめちゃん、もしまたよっちゃんたちからいじわるされたら、いつでも幸を呼んでね」
「…うん」
「ほら、かなめちゃん、泣かないで。幸と遊ぼうよ」
「うん!」


かなめちゃんはとてもかわいいです。かなめちゃんが笑ってくれることがわたしのしあわせです。その、かわいくて、やさしくて、ちょっぴりかっこいいかなめちゃんの笑顔はわたしの宝物です。


右手、左手、あなたのて


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