私が夏目と出会ったことは、私の人生の数ある出会いの中で殊に縁のある出会いだった。夏目との出会いが、私がしあわせになるには必要不可欠なものであったことは、きっと夏目本人もわかっていると思う。

「私は、夏目と出会えてよかったよ」

そういったときの、夏目のうれしそうな照れたような笑みが好き。とてもすき。夏目はやさしい。愛することと愛されることが、決してあたりまえでないことを知っている。そんな驕りのないおだやかな愛情が心地よくて、私はそんなきみがいとおしくてしかたがないのだということは、きっと夏目本人も知らないのだろう。


「夏目」
「なに?」
「ありがとう」
「…おれこそ、ありがとう」
「私と出会ってくれて、好きになってくれて」
「おれのほうこそ」
「ずっといっしょに、いてくれる?」
「それは、おれのセリフだから


きみとの やさしい思い出


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