※純情赤司の続編になります。 純情+ツンデレ(+あほ)なので、前回よりさらに赤司のキャラ崩壊がひどいです。
突然ですが、皆さんは知り合いに会ったとき、一体どんな挨拶をなさるのでしょうか。ふつう、「おはようー」とか「うっすー」とか「生きてたか、久しぶりー」とかそんなもんだと思うんです。あ、ちなみに最後のは一週間ぶりに講義に出てきたプチ引きこもりの友人に会ったときに私が使う文句です。まあ、要はふつうそんなもので、おおよその場合は「おはよう」とかそういう決まり文句を使うものですよね?常識的にはそうですよね?
「なまえ、結婚しよう!」
赤司が私と会ったときに使うこの挨拶は、完全に頭おかしいのかよって思いますよね?
「……赤司ェ…」 「さあ、なまえ!今日こそ僕の求婚に応えてもらおう!」 「いやです、どうぞ速やかにお帰りください」
大学生になっても相変わらず血迷い続けている赤司は今日も今日とて、わざわざ私の大学にまでやってきて私を待ち伏せしては開口一番に「結婚!」という言葉を口にするのだった。そうして、いつものように私が真顔で切り捨てると、わずかに表情を曇らせた赤司は真横に視線を逸らしながら「…べ、べつに僕はお前が好きなわけじゃないからな!」といつもの言い訳を始めたので、またかよとため息を吐きながらこれまたいつものように切り返した。
「僕はただ責任を取らなければならないから仕方なく……!女の子のぱ、……ぱんつ…を見てしまったからには、男としてきちんと責任をだな……!!」 「いやいや、パンチラの責任なんてないです、むしろあなた被害者です」 「…だが、……しかし、僕は…」 「赤司は真面目すぎだって、私はこれっぽっちも気にしてないからあんたも忘れなって」 「……い、やだ!!!」
私がそういっているにも関わらず、全く聞き入れようとしない当の赤司はどうやら5年前の私のパンチラを思い出したのか、あのときのように頬を染めて相変わらず視線を逸らしたままうつむいた。……おい、おい。こいつ、大学生になっても未だに純情だというのか……高校三年間も遠距離ではあったが、赤司は度々私に電話をかけてきては迷惑にも「なまえ、結婚!」と求婚してきていた。おい、まさか赤司お前、かなりモテるくせに高校三年間も相変わらず私ひとすじ(なんか語弊があるが…)だったっていうのか?中学のときに私に初めて求婚した日から、まさか本当にずっと私だけだったっていうのか?
「大体、なまえが言ったんだろう、遠距離でも変わらず本気ならば結婚してくれると……!」 「ちょっと、赤司。落ち着け」
つーか、結婚するとは言ってねーよ。考えてもいいよって言っただけなんですけど、勝手に改竄しないでください。「とりあえずこの手を離して、いたいから」と掴まれていた両手について指摘すると、どうやら無意識につかみかかっていたらしく、はっと驚いた赤司はさらに赤面しながら慌てて「…す、すまないっ」と言いながら手を離した。手を握ったくらいで耳まで真っ赤とか……相変わらず純情だなまじで。
「大体さ、結婚は好きなひととするものだよ」 「…まさかなまえ、僕以外で好きな男がいるのか!」 「いや、いないけど。ていうか、赤司もちゃんと好きなひとと結婚しないと幸せになれないよ」 「………僕は…」 「大体、責任とかそんなんで結婚したくないわ、私はちゃんと、」
と、さらに私が言葉を続けようとしたのだが、残念ながらそれは叶うことなく私の喉元に止まったまま音になることはなかった。
「――それならば僕はなまえとじゃないと幸せになんて一生なれない!!」
赤司は今もりんごのように真っ赤に顔を染め上げながら、とてもとても真摯で、一途な、そして少しだけ切なげに顔を歪ませながら、思いの丈をぶつけるかのようにまっすぐ私だけを見つめながら、ほんとうの気持ちを心の限り叫んだ。……バカだなあ、ほんとうに。てっきり、三年も距離が離れてしまえば意味のわからない求婚なんて、いい加減諦めて忘れてくれると思ったのに。その程度だって、思ってたのに。
「……あのさあ、赤司」
それなのに、赤司が電話をかけてくれるのを内心楽しみにするようになったのはいつからだろう。赤司が変わらず会うたびにバカみたいに求婚してくることを呆れながらもほっとするようになったのはいつからだろう。大学生になって、東京に帰ってきた赤司が中学のときと変わらない、噂と異なるおバカで純情な赤司をかわいいと、ああ、とてもいとおしいなあ、なんて、そんなことを思うようになったのは、どうしてなんだろうか。ま、何故か純情に中途半端なツンデレが追加されてたのは正直予想外だったけど。動揺するとパニックになるとこから発生したんだろうなあ。
「赤司は、ちゃんと私が好きなの?」
ほんと、バカでかわいくて、そんな赤司が私はとてもいとおしい。だから、ずっとはぐらかしていたのは私のほうだけれど、赤司にもちゃんと私に応えてほしいんだ。赤司が本気でないのならば、そこに赤司のきもちがないのならば。そんなのは絶対にいやだから、それではきっと私は幸せにはなれないから。だから赤司、お願いだよ。
「なまえ」 「うん」 「……すき、だ…」 「…うん」 「ずっと、――僕はお前がすきだったんだ」
真っ赤な顔で、震える声で、私だけを見つめながら「すき」と一生懸命伝えようとする赤司に、私も赤司とおんなじように頬が赤く、赤く、染め上がる。
「だから僕と、結婚してほしい……!!」
――ああ、いとおしい。
きらめく純愛
「でも、結婚はできないかな」 「な!?騙したのかなまえ!!」 「今は、ね」
私がそういうと赤司はほっとしたように顔をほころばせた。……やっぱり赤司はめんこいな、めちゃくちゃかわいいぞ、おい。
「とりあえずお付き合いからでしょ」 「!」
……おい、なんで「お付き合い」って単語聞いただけで頬染めてんだこいつ!手を握ったくらいで真っ赤なんだから、こりゃキスに至るまでの道のりは遠そうだなあ、となんか立場逆じゃね?と心の中で苦笑しつつ、私は赤司の手を握った。
「…なまえ……て、を…」 「うん?恋人繋ぎがいいって?仕方ねーなおい」 「……うああ…」
おいおい!恋人繋ぎくらいでキャパオーバーとか……やべぇ、赤司かわええ。だてに三年間も遠距離片想いしてないなこの子!そりゃ元々純情少年だったけどまさかここまでとか!今時希少価値すぎるぞ……赤司よ。
「……ず、ずがたか…いぞなまえ!!なんだ、この手は!」 「わかった、ごめん、離す」
私がそうやっていじめると赤司は「だ!れもそんなことは言っていないだろう離したらなまえでもころす……!!」とうろたえながら慌てて私の手を絶対離すもんか!!と言うようにぎゅ!!!と握った。相変わらず、言わずもがな、髪の毛と同化しそうなくらい顔は真っ赤のままで。
「よし!今日の講義、赤司ももう終わりでしょ!」 「…ああ、今日はもうないよ」 「今から私の家来ない?いろいろ話したいし!」 「えっ」
「ちなみに私一人暮らし始めたんだ〜」と真っ赤な耳元にささやくと、純情赤司がなにを想像したのかわからないが声にならない悲鳴を上げて、私の手とつないでないほうの手で真っ赤な顔を覆って悶えていた。
「お!女の子がそうそう男を招き入れるな!!警戒心が足りないぞこのバカ!!!」
……おい、お前まさかやらしーこと想像したんじゃねーだろうな。片手で覆ってもその赤いのは到底隠しきれるものじゃないですけど。赤司ってやっぱり実はあほか、あほなのか。そんな赤司があんまりかわいいものだからつい、いじりたくなってしまった私が赤司の耳元にさらに「そういえば今日は、あの日よりも濃いピンクのおぱんつだよ」と追い打ちをかけると純情赤司はついに爆発しやがった。
130328 純情+ツンデレ赤司 入籍編へつづく!
赤司という名の別人レベル
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