俺、現役モデル黄瀬涼太(20)の、いとしい彼女の名前は苗字なまえ(20)といいます。
「なまえー!なまえー!」 「朝からうるさいな、黄瀬」 「おはよっす!今日もかわいいっすねー!!」 「おはよう、お前は今日もうるさいな」
そういってなまえは苦笑しながら、目が合うとすぐになまえに抱き着いた俺の背中をぽんぽんとなだめるように軽く叩いた。ああああ、なまえが今日も好きすぎて好きすぎて好きすぎてやばいっす、なんて言葉にすればいいか分からないくらいに。あ、なまえ、今日もいいにおいっすね!
「てか、なんで昨日泊まってくれなかったんすかー!?」 「ああ、悪い悪い。ちょっとレポートがあってね」 「俺、昨日さみしくてひとりで震えてたっすー!」 「…はは、それは悪いことをしたな」 「メールしてもそっけないしぃー」 「ごめんってば」 「なまえのばかあ」
なまえの肩に額を押し付けてぐりぐりしながらひたすら拗ねていると、そんな俺に呆れたのかなまえが大きくため息をこぼしたから、拗ねすぎて怒らせちゃったのだろうかと俺は不安になってついびくりと大きく反応してしまった。うう、俺、なまえに嫌われたら文字通り生きていけないっすよ……!
「涼太」 「…うー」
普段俺を黄瀬と呼ぶなまえが、俺を名前で呼ぶのは、俺をなだめるとき、言い聞かせるとき、大事なことをいうとき。正直、普段も名前で呼んでほしいけれど、なんだか今更過ぎてなかなか言い出せなくて、付き合って数年経つが未だに彼女は俺を苗字で呼んでいる。やっぱり、彼女には名前で呼んでほしいっすよね!だけど、こんなふうに時々名前で呼ばれるのも新鮮なかんじがしてきらいじゃないから、なんだかんだこんな現状も捨てがたいんっすよねえ。
なまえに、涼太と名前で呼ばれるだけで俺はバカみたいにドキドキしてしまうんだ。もう成人だってしたっていうのに、なまえに対してだけは未だに心は中学生の純情少年のままで。ああ、ほんとうにイヤになる、っす。切ないくらいに、おれは、きみがすき。
「今日は泊まってあげられるから、機嫌を直してよ、な?」 「ほ!ほんとっすかなまえー!!!」 「ああ、本当だよ」
ああ、俺は、きみの笑顔ひとつでこんなにも幸せになれるんだ。それは、きっと、あまりあるくらいの幸福だね。俺にはほんとうに勿体ないくらいのしあわせ。きみに出会えてよかった、きみを好きになってよかった、きみがこんな俺を好きになってくれてほんとうによかった。本当にいるかどうかはわかんねーけど、俺に彼女を授けてくれてほんとうにありがとう神サマ!!!
「はは、今日はずっと一緒だな?涼太」 「……っなまえー!好きっすー!!!!」
一生大事にするから、絶対幸せにするから、きみに恋に落ちた日のままずっと変わらず大好きでいるから、だからなまえも、ずっと俺だけのものでいてね!
ぜんぶきみのものだ
130125
これはひどい、誰得?
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