小ねた
2013/08/21 01:35

やけにうるさい女だった。真夏時の蝉のように延々と喋り続けるような女だった。とかくうるさい女で、そんな女に付きまとわれて大変迷惑していた。

「赤司くん、私のこときらいでしょ?」
「へぇ。よく分かっているじゃないか。もっと暗愚な女だと思ったが」
「あらあ、辛辣だな〜」

笑う女にイライラしながら、明日からは付きまとわないからと宣言した女に僕はただ嘲笑を贈る。

「ようやく僕は解放されるのか。良かった良かった」
「赤司くん」
「……なんだ」
「私はね、」

その続きがなんだったのかは分からない。彼女は正に蝉のような女だった。今年の夏にはまた彼女のうるさい声を思い出しながら、僕は追悼の意を示す。



知らなかったことが多すぎる