小ねた
2013/08/26 09:33

「あれ、おかえり征ちゃ……!」
「ただいま千加」

ぎゅうううぅ

「……征ちゃん、苦しいよ。力強い」
「ごめん。でも今はただきみを抱き締めたくてたまらないんだ、もうちょっと我慢して」

私の肩に顔を埋めるようにして私にしなだれかかるようにしながら、征ちゃんは私をぎゅっと強い力で抱き締めた。そして、そういって私の耳元で囁いたあと、私の耳たぶにちゅっとキスをした。そして次に首にちゅーしたかと思えばそれはこめかみに上がっていき、額、瞼、鼻先、頬と下り、最終的には唇に大層ねちっこく濃厚なキスを施した。

「……好きだよ」

征ちゃんは一週間に一回はこの触りたがり症の症状が出る。とりあえず、私もぎゅうぎゅうに抱きつけば満足げに征ちゃんは笑って。

「僕は幸せだ」

そんなことをいう征ちゃんの瞳は宝石のように美しくて私は、泣きそうになった。それから、また苦しいくらいにキスを何度もして、二人で幸せに向かって笑った。


日常のひとかけらの幸福