小ねた
2013/08/05 14:53
「さつきちゃーん」
「なぁに、みっちゃん、あっちゃん」
「これ、半分持つよー！」
「ほら貸して！」
「わあ、ありがとう。助かっちゃったー！」
「ていうかあんたゼッケン運ぶなら声かけてよー！うちらちょうど暇してたしー」
「いや、休憩しててもらおうと思って。ありがとね〜」
「全く水くさいわよさつきちゃん！もっと頼りなさいよね！」
「ごめんね、ありがとう、二人とも！」
「気にしなくておけー！ていうか……あれ、あそこ、水道のとこにいるのって赤司様ー？」
「ほんとだ赤司様じゃない！」
「…様……相変わらず様付けしてるんだね二人とも」
「誰だろうあの女の子ー……ってなんかめっちゃ仲良さげー！？」
「ていうか！！今！！！赤司様めっちゃやさしい顔で笑ってない！？誰なの赤司様と話してる女の子！」
「ああー、あの後ろ姿はたぶん……」
「さつきちゃん知ってるのー！？誰、一体誰ー？」
「教えてよさつきちゃん！！めっちゃ気になるよ！あの赤司様があんな顔するとか！！」
「あはは……えーとね？たぶん後ろ姿見た感じと赤司くんの表情的に、赤司くんの幼なじみの伊藤千加ちゃんだと思う。彼女、元々は女バスのレギュラーだったんだけど、全中のあとやめちゃったみたいで、今赤司くんが男バスのマネージャーになるよう勧誘してるらしいよ」
「へ、ええー！？赤司様の幼なじみー！？」
「あの子、うちらと同じ一年でしょ！？元プレイヤーで、それに赤司様自らマネージャー勧誘とか！！」
「千加ちゃん、かわいくて素直でいい子だよ！」
「ふわああー！赤司様のあんな顔初めて見たなあー。赤司様って誰に対しても分け隔てなくやさしいけど、でもその千加ちゃんだけは特別なんだねー」
「ほんっっとうに！！やさしい顔で笑ってたわよねぇ、なんか大スクープよね。赤司様、あの子のことが好きなんだろうね」
「赤司くんも案外普通の男の子だよ。本当に千加ちゃんが大好きなんだなって見てるだけで分かるもんねー」
「はああ、あんだけかっこよくてやさしくて、オーラすらあんのに、こうやって見ると赤司様もやっぱ普通の男子中学生だねー」
「ね、なんか意外だよねぇ。あ、でもいい意味でギャップ感じたなぁ……って、うわ！赤司様、伊藤さんの頭撫でてる！」
「赤司くんってば、超幸せそうな顔してるね〜」
「はああ、ありゃ誰も叶わないわけだー。赤司様、本当にあの子が大切なんだねー」
「あ、赤司くん、こっち来る」
「えええっ、ちょ、どうしようー！」
「思わぬ場面に遭遇してどんな顔すればいいかわかんないわよ！」
「普通にしてればいいんじゃないかな……？
「やあ、みんな。お疲れさま」
「お疲れさま赤司くん、もしかして千加ちゃんと話してたの？」
「……ん？ああ、そうそう。俺のタオルを届けに来てくれてね、それでお礼ついでに勧誘してたんだよ」
「マネージャーになってくれそう？」
「んー、どうだろうね。でもあと一押しって感じだな。まあ、彼女ならきっと了承してくれるさ」
「ふふ、赤司くんのお願いだから？」
「はは、いやまあそれもなきにしもあらずだけどね。確かに千加は昔から、俺のお願い事を断りきれたことはないけど。そうじゃなくてさ、何よりもね、彼女自身バスケが好きだからだよ」
「……そっかあ、プレイヤーはやめてもバスケそのものを諦めきれるものじゃない、ってとこ？」
「そう、桃井はさすがだな」
「赤司くんってば千加ちゃんのことは何でもお見通しなんだねー！」
「ふふ、そうだね。大体のことはね。……ずっと、いっしょだったから」
「えー、私も大ちゃんと幼なじみでずっと一緒だったけど、未だにあいつ意味分かんないよ〜？」
「はは、まあ、俺たちは確かに少し特殊なのかもしれないな」
「赤司くんたちはただの幼なじみなのにお互い好きすぎるんだよ！」
「……それは最早仕方ないな。そういうふうに育ってしまったからね、俺も千加も」
「さりげなーく、のろけっぽいこと言うのやめてよ赤司くん！！」
「いや、悪いな。わざとではないんだよ、なんかもう癖っていうか」
「余計いやだよ！」
「悪い悪い……っと、そろそろ休憩時間が終わってしまうな。とりあえず失礼するよ。みんな、このあともよろしく」
「うん、赤司くんもがんばって〜」
「……え、あ、はっはい！！」
「赤司さ……赤司くんもがんばってください！！」
「……なんで固まってたの二人とも？」
「い、いやー、なんか赤司様、別人みたいだったしー話題に入っていけなかったしー！」
「なんか……赤司様って本当に案外普通だね、私ちょっとびっくりした」
「だから言ったでしょ〜！？」
「うんー、なんかさつきが様付けに違和感抱く意味が分かったわー。様付けはやめないけど」
「ね、赤司様も普通の男子だった。様付けはやめないけど」
「……そこは頑ななんだね」
マネージャーの女の子がなんかかわいくて好きだったので、コミックスとノベライズ登場を記念して書いてみた。……オチがない！赤司様ってばすごいひとだけど、あのひともまだ中学生で12歳だよ、普通の男の子だよーみたいな方向に落ち着けさせました。なんかすみません、相変わらずうちの赤司さんはかっこよくない！(笑)