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小ねた
2013/07/20 15:20

※玲央姉視点

征ちゃんには最愛の彼女がいる。

「……あ、千加から電話だ」
「あららー、相変わらずお熱いことで」
「勿論だ。……少し席を外すよ」
「もちろん、どうぞぉ」

にっこりと笑えば、にっこりと笑い返された。うわあ、征ちゃんすっかりデレデレになっちゃって。ほんっとうに!!あの子が大好きなのねぇ。とか感心していたら、マネージャーの子たちの噂を思い出した。征ちゃんはあの容姿な上にあの才能溢れる万能少年なので、もうそりゃあモテるの。唸るほどモテるの。下手したら洛山一モテるんじゃないの?ってくらいモッテモテなんだけどね。だけど、当の本人は案の定全く興味がないらしく、しらーっとした顔でどんな美少女に告白されようと、ばっさりきっちりすがすがしいほどにお断りしているらしい。

「……ま、あんだけべた惚れな彼女がいるんじゃあねぇ」

一応遠距離なのにあのアツアツぶりは一体何なのか。恐ろしい限りである。でも征ちゃんにそんな最愛の彼女がいることを知っているひとはかなり少ない。バスケ部の面々くらいじゃないのかしら。最初はみんな信じられなかったみたいだけど、インターハイやらウィンターカップやらで彼女に会うたびに、もしくはこんなふうに電話に出ているのを見るたびに、やっぱまじやんかと納得せざるを得ないというか。特に全国大会のときはもうそりゃあひどい。キャプテンなのに合間合間に消えて、どこに行ったかと思えば他校のマネージャーである彼女を文字通り捕まえて離さないのだから。なのでバスケ部のみんなはげんなりするくらい知っている事実なのだけど、一般の生徒たちは噂にちょっと聞くくらいでたぶん信じられないか、大したことないと思っているみたい。だから、征ちゃんに告白する女の子が未だに絶えないのよねえ。

「あら征ちゃん。もう電話終わったのね。……なんか機嫌悪くない?」
「………べっつに」
「(すごい膨れっ面……!)何かあったの?」
「べっつに」
「征ちゃーん」
「今僕をその呼び方で呼ぶな、千加を思い出す」
「……主将ー、千加ちゃんとケンカでもしたの?」
「…………今ね」
「うん?」
「どうやら千加は誠凛バスケ部の面々とマジバにいるらしんだけど、」
「う、うん」
「……まあそれはいい。それでだな、その上腹立たしいことに、今日千加は告白をされたらしいんだ」
「……………はあ」

いや別にもしも告白されたら逐一僕に報告しろとは言ったから素直に申告してきただけいいんだけど、いやでも、むかつく。テツヤの「ねえ今どんな気持ち?今どんな気持ち?」的な発言もめちゃめちゃむかつくけど、いやそうじゃなくて、だがしかし……!!僕は傍にいれないのにあいつらは千加の傍にいれるわけで、ああもう、どこにこのイライラをぶつければいいのか!と悶々とした表情でぶつぶつ呟く征ちゃんに思わず噴きだしそうになる。……ふふふ、もう、自分も今週だけで3人もの女の子に告白された男が何を言ってるのかしらとかツッコミはともかく、征ちゃんに群がる女の子たちもこんな征ちゃんみたら恋心も冷めてしまうわねーとひとり笑ってしまった。ああー、もうバカップルまとめてかあいいわあー!!

「…なんだ、玲央。にやにやするな」
「いいえー、ごめんなさいねえ。征ちゃん、まずは千加ちゃんがどこぞの変な男になびかないようにちゃんとおうちに戻ったら折り返し電話しなさいね?」
「当たり前だ。帰ったらビデオ通話で問い詰める」
「……遠距離の味方ねえ。ま、千加ちゃんなら大丈夫でしょうね、千加ちゃんも征ちゃんのこと大好きだもの」
「………もちろんだ」

ああ、バカップルかあいいー。


完全に弟とその彼女を見守る姉である。「修羅」赤司を完全にネタ扱いしててすみません。