×
「#オリジナル」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -



小ねた
2013/07/09 02:18

「桃井」
「あ、なに、赤司くん」
「一つ頼みがあるんだが」
「え、なに、どうしたの?部活のこと?」
「いや、私的な頼み事だ。俺と千加の噂を知っているか?」
「あー、なんかそれぞれ別のひとと付き合ってるみたいなやつ?」
「そうだ。全く根も葉もないが出所が気になる、調べてくれないか」
「……うー、別にいいけど、部活関係以外で諜報かぁ。まぁなんとかするけどぉ……うー」
「報酬は、期末テスト問題の予想をまとめたノート全教科分でどうだ?」
「っ乗った!!!」
「交渉成立だ」
「わあい!赤司くんのノートなんてテストは楽勝だあ!!」
「じゃあ、頼んだよ桃井」
「あいあいさー!」

大方の見当は付いているが桃井に任せていれば確実に解明できるだろうから心配はいらない。あいつの諜報能力は本物なのだから。

「…どうやって、報復してやろうか」

余計なことをするやつは許さない。

「征ちゃん?」
「…千加」
「さっきさっちゃんに会ったけどなんかご機嫌だったんだけど」
「今回のテストは安泰だからな」
「えっ。さっちゃんまじで!うわあ、征ちゃん!今回も私に教えてね!特に数学!!」
「もちろん。しっかり教え込んであげるよ」
「…なんか征ちゃんが言うと卑猥だね」
「………卑猥なことも教え込んであげようか?」
「ごめんなさい私が悪かったです」
「なんだ、残念だな」

苦笑する千加の髪をさらりと撫でて、その白くて折れてしまいそうな首筋に手のひらを滑らせる。ぴくりと反応する彼女がかわいくて、笑う。……ああ、ほしいなぁ。本当は早くほしい、奪ってしまいたい。でもまだそのときではないから。まだ先の未来に楽しみは取っておくことにする。

「…征ちゃん」

だから、折角我慢しているんだから、あんまり熱のこもった瞳で見ないで。

「あまり、かわいい顔をするな」

思わずその瞳を手のひらで覆う。隠れていない口元は照れたようにゆっくりと弧を描いていた。…しまった、これではキスしたくなってしまう。自分で自分を追い詰めて、俺は本当にバカだな。

「…今日は手を繋いで帰ろうか」
「うん!」

今日からテスト期間に入るため、すべての部活動は停止になる。下校時間にはほとんどの生徒がほぼ一斉に下校するのだ。だから、あんな噂は所詮噂であって、いつものごとく真実ではないと知らしめてやる。俺と彼女を引き離すなどと、内容を伴わない噂でさえも許しがたい。

風評元を炙り出すのは、つまらないテストの後にでもとっておくことにしようか。





たぶん続かない。