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小ねた
2013/07/05 06:31

※中二


「なあ、オイ。お前、名前は?」

突然腕を捕まれたので、一体誰だと思い、顔を窺えば全く面識のない人だった。

「……え?」
「え、じゃねーよ。お前帝光のマネージャーだろォが。名前はって聞いてんだろ」
「…伊藤、千加といいます」
「………千加?」

にやりと笑うこの人と私に面識は一切ないが、名前と顔と肩書きは知っていた。悪童・花宮真、学年は一つ上だが、最近キセキの世代と持て囃される天才たちに負けず劣らずの天才らしいが。それにしても、笑い方が少しこわい。

「お前、連絡先教えろよ」
「えっ」
「おら、さっさとしろ」
「……あの、そういうの困ります。失礼します」
「逃げんじゃねーよ」

…どうしよう。このひと、こわい。

「おい、千加。俺が教えろつってんだから、言う通りにしろ」
「……」
「…ハッ!俺から逃げられると思ったら大間違いだぜ」

冷笑を浴びせるこのひとにただ無言で抵抗するくことしかできない。こわい、とてもこわい。蛇のような視線で背中にじわじわと戦慄が走る。

「は、離してください!!私……!」
「その子は俺のだから、不用意に絡まないでくれないか」
「……せ、いちゃん?!」
「ハァ?……うわ、赤司かよ」

……相変わらずヒーローのようなタイミングだな…と考えられるくらいには余裕を取り戻した私は、花宮さんに掴まれている私の腕を痛くない程度引いている征ちゃんのきれいな手を見つめた。

「フーン、お前あの赤司の女かよ。千加?」
「え、いや、あの」
「彼女を名前で呼ばないでくれるか、あといい加減離しなよ」
「チッ、相変わらず帝光には生意気なやつが多いな、先輩には敬語使えよ」
「敬う必要がない相手には使わない。俺の言うことが聞けないのか?離せ」

全国の中学生の中で指折りの司令塔である二人の攻防は正直末恐ろしい。言葉の応酬も既に多大に毒のあるものであるが、正直頭のよすぎるふたりが言外に繰り広げている睨み合いのほうが奥が深そうでまじこわい。戦々恐々としながら、とりあえず後ろから抱きしめてくれている征ちゃんに背中を預けた。

「悪童・花宮真といえど試合の外で問題を起こすわけにはいかないだろう、いいから退けと言っている」
「はんっ、噂の赤司の跡取りはどうやらこの女に固執してるらしいじゃねーか……おもしれぇなァ」
「黙れ、赤司の名は関係ない」
「…フーン?ま、いいわとりあえず」

じゃあな千加と最後に冷笑を浮かべた花宮さんは本当に怖かったし、なにやら珍しく警戒心マックスな征ちゃんもちょっと怖かった。振り返り、表情を窺えば何やら考え込んでいた。

「征ちゃん?」
「……ん」
「どうしたの?」
「何でもないよ。花宮真は頭はいい上に、性格の悪い人間らしいから今後も気をつけてね」
「性格悪いとか普通に言っちゃうんだ……。でもありがとう、気を付けます」
「ん」

よしよしと頭を撫でてくれる征ちゃんにへらりと笑い返せば、ふわりと美しく微笑まれたあと、ぎゅうと抱きしめられた。

「せ、征ちゃん?!」
「ちょっとだけ」
「はやく戻らないとみんなに怒られるよー…」
「俺が主将なんだから大丈夫だよ」
「先輩キレたらこわいよ」
「俺がキレるほうが怖いと思うが」
「地球が滅びそうだわ」
「そうだね」

自分で言っちゃうんだ……征ちゃんさすが。

「戻ろうか、千加」




無冠で唯一何の接点もない花宮さん。赤司くんと花宮さんはどんな会話するのかなー。原作で絡みなしですからね。花宮さん天才なのに無冠の中でも扱いが悲しい。でもきっと赤司くんとは楽しい頭脳戦になるはず!という願望の現れ。あと花宮さんもお金持ちだと思います。