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小ねた
2013/06/28 01:45

※長男:清一郎


「きゃあああ!なにこの子超かわいいぃ!!」
「うるさいぞ玲央、はしゃぎすぎだ」
「だって征ちゃん!!この子、あなたにそっっっくりじゃない!!!征ちゃんの赤ん坊の頃を見てるみたいっ!!」
「あはは、確かに征ちゃんの赤ん坊の頃にそっくりらしいです。実渕さん、この子抱っこしてみます?」
「ええ!あらやだ!どうしましょう!!違う違うのよ千加ちゃん!嫌なんじゃないのよ!?なんていうか……お恐れ多くて!!」
「遠慮する必要もないが喚くなら別に息子を抱っこする必要もないぞ」
「だってだって!この子征ちゃんにそっくりなんだもの!!」
「……(かっ!)」
「ほら0歳にしてこの目付き!呆れたような表情まで一緒じゃないのよぉ!あ、もちろんかわいいけれど!!」
「…清一郎、そんな顔しないの、ほらほら」
「……(へらっ)」
「うるせーなこいつって私を見る表情から千加ちゃんにデレる顔まで全くパパとおんなじよ!きゃあ!!」
「…お前テンション高すぎないか、玲央。本気でうるさい、大の男がわめき散らすな」
「大の男とかそういう表現はやめてぇっ!」
「……いちいちやかましいな。いいから、ほら。抱いてやってくれ」
「ほら、実渕さん」

恐る恐る千加ちゃんからミニマムせいちゃん(名前も清一郎だし間違いじゃないわよね!)を受け取って、そっと抱く。自分の子はまだいないし、他人の子を抱くなんてそうそうなくて、なんだか緊張した。温かくて、やわらかくて、ちいさくて、でも思ったよりもずっと、ずっと重かった。

「…この子が、征ちゃんと千加ちゃんのお子なのね」

ああ、なんて、かわいいのかしら。征ちゃんそっくりの仏頂面に、思わず笑った。

「パパとママに愛されて、幸せになるのよ?」

ふわり、と仏頂面がやわらかくほころんだ。……ああ、ああ。

「…まさか、泣くとはな。小太郎はまだ首も座らないのに振り回す勢いだったのに。玲央はやさしいな」
「実渕さん、ありがとう」

そっと千加ちゃんに清一郎くんを返して、泣きながら笑った。

「きっと、征ちゃんみたいに強く賢くて、そして千加ちゃんみたいに一途で頑固な子になるわね!!今から将来が楽しみだわあ!!!」

えっ、私頑固ですか?と膨れる千加ちゃんの肩を征ちゃんがそっと抱き寄せて微笑む。


あのふたりに愛されたこの子は、きっと幸せになるだろう。あんなに表情の固かった征ちゃんが、今愛するひとに触れて微笑みを浮かべられるくらい、幸せになれたのだから。

「ありがとう、玲央」

だって、今の征ちゃんの表情そっくりに、あの子はそっと笑ったのだもの。それが、私とても、とてもうれしかったのよ。