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「#幼馴染」のBL小説を読む
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小ねた
2013/06/27 00:55

「ねー征ちゃん」
「ん?なに?」
「もしも、私が明日死んじゃったらどうする?」
「この前の映画に触発されたみたいだね」
「あー、うん」
「そうだね、もしも明日突然きみが死んでしまったとしたら、きっと脳みそがその事実を処理できなくなってしまうだろうな」
「…というと?」
「受け入れられないというか、たぶん文字通りフリーズしてしまうんじゃないかと思う。泣くことも、できないだろうな」
「……そっかあ」
「いつか、僕がきみを喪うとして」

つい考え込んでしまった私を後ろから腰に手を回して引き寄せた征ちゃんはそっと私の手のひらを触る。低体温の征ちゃんの熱が私の手のひらをすべってゆく。やがて指を絡ませて、それぞれ異なる熱を分け合う。

「もちろん、そんな日はできるだけ来てほしくなんてないんだけど。でも、いつか来るとして、僕の脳みそはきっとまともには働いてくれなくて、僕のこころは凍りついたように冷たくなって、それから目の前が暗くなって何も見えなくなってしまうんだろうと思う」
「…うん」
「でも、僕はきみより先には逝きたくはないし、たぶんだけど僕はしぶといから僕のほうが長生きすると思うんだ」
「し、しぶといってあなた」
「ふふ。僕はしぶといし、しつこい男なんだよ。生まれてからずっときみだけを追いかけて逃がさないんだからさ」
「あんまりこわいこと口にしないでほしいのですが……!!」
「きみを、これからはもうずっとひとりにはしないよ。たとえ、僕が死んだとき、きみがおばあちゃんになっていたとしても、僕以外の誰かが傍にいるのはいやだからね」
「征ちゃん以外の誰かと再婚なんてしないよ。ていうか、征ちゃんのほうが不安だよ!征ちゃんだったらきっとおじいちゃんになってもかっこいいし、やさしいし、そのうえお金持ちだから若い子からおばあさんまで寄って来そうだよ!」
「あはは!そうかな、ありがとう。でもさ、たとえそうなってもきみ以外の誰かと添い遂げる気はさらさらないよ?」
「……ならいいけど!」
「ほらほら、怒らない怒らない」
「………けっ」
「生まれ変わっても、きみを見つけて、もう一度きみに恋をしたいな」
「えーでも、次は兄妹とかかもよー?」
「結婚できなくても、一生傍に置いて離さないから大丈夫だ」
「えーえーえー」
「でも、やっぱり次も幼馴染がいい。生まれたときから一緒で、幼い子どものときも、少年少女のときも、大人になって結婚して子供ができても、ずっとずっと一生を通して一緒がいい」
「えー?なにそれ来世へのプロポーズー?」
「そうだね、今から予約してていい?」
「現世でもこれから結婚するのに?!」
「うん。で、返事は?」
「……もしも、もしも、来世でももう一度出会えるなら、征ちゃんと恋ができるなら。そしたら、もう一度私を選んでほしい、です」

いくつかの、もしものおはなし


「絶対次も、僕はきみに恋をする。絶対、絶対だ」
「征ちゃんの言うことは絶対なんだよねー」
「そうそう、そして次もずっと一緒にいるんだ」
「征ちゃんがかわいくて私死亡」
「んじゃあ、蘇生しなくてはだね?」
「んぎゃああ!無礼者ー何をするー!!」



蘇生方法はひみつ・ひみつ・ひみつっのっせいちゃん!……寒い上に、この言い回しは若い子には通じないですね……。