小ねた
2013/06/10 20:03
あとどれくらい傍にいられるのだろう。あとどれくらい笑ったら、あなたは笑い返してくれるのだろう。二人の間にはどうしようもない虚構の愛しかない。中身は空洞、がらんどうのふたり。
「赤司くん」
「なに」
「手、つなぎたいです」
「ん」
「あなたの手、つめたくて、好き」
「そう?俺は、お前の手、やわらくて、好き」
「……えへへ」
「おい、不細工になってるぞ」
「…ひどい」
「酷い男はお嫌いか」
「赤司くんは大好きです」
「よし、いい子だな」
「…えへへ」
「……くっつくな暑苦しい」
「心底嫌そうな表情、やめて」
「……ふ、はは」
「笑うならちゃんと笑ってくださいよ」
「バカだな、お前」
「お褒めにあずかり光栄至極」
「さすが、俺の犬」
「わん」
だけど、探り合いながら、目配せするのも、悪くない。