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小ねた
2013/05/11 15:07

久しぶりに旧知の友人である彼と会って、たくさんの懐かしい昔話を肴に酒を酌み交わして、変わらぬその性格にボクはやはり苦笑いを浮かべるのだった。

「来月はついに結婚式ですね」

おめでとうございます、と言えば心底うれしそうな笑顔で彼はありがとうと言った。

「昔は、千加と結婚する日がとても待ち遠しくて仕方なかったが、今思えばそれほど長い期間でもなかった気もするよ」
「それは、やっぱり昔も今も、変わらず千加が隣にいるからじゃないですか」

そうして揶揄しても、赤司くんは何でもないかのように微笑み、ひらりとかわしてしまう。そうだね、という肯定に混じるは積年の愛情と恋心なのだろう。そう思いながら甘すぎる雰囲気に胸焼けを起こしてしまい、それをごまかすようにボクは残っていた焼酎を一気に煽った。

「でも、よかったですね。ようやく、キミの長年の夢が叶うんですから」

そうして心からの祝言を口にすれば、うん、とやっぱり幸せな笑みを顔一面に張り巡らせて、彼は最愛の彼女を想っていた。キミは、キミは覚えていないかも、しれないけれど。

「……やっと、これで」

かつて、ボクが死さえも超えて祈ったこと。忘れては、いない。

「ああ、僕と彼女の宿願がやっと結ばれたんだよ」

赤司くんの言葉に、ボクは目を見開き、思わず顔上げて彼を見る。いや、そんな、まさか。そんな視線をすべて一蹴するかのようにやっぱり笑んで、赤司くんはやさしく目を細める。

「ずっと、千加だけがほしかった」

旧知の幼なじみで、ましてやあまりに近くに生まれ共に育ち。一生を約束し、それを違えることのないよう一途に、お互いを想い続けたその愛は。

「ありがとう、テツヤ。お前のおかげだ」

彼女の分身のような近さで、あるいは固くななふたりの親友という立場であるボクが、ずっと願っていたこと。そして、これからも願う。どうか、このふたりの一途でかわいい恋が、この先もずっと続いていきますように。少しお酒に酔った頭で、心からそう願った。

「何度でも言いますよ赤司くん。結婚、おめでとうございます」

初恋を守り続けたきみたちに、心からの祝福を。




前世でのお話「そして永遠」から少し。黒子は前世を覚えている体で「修羅」を書いてました。だから変わらず赤司くんは親友で、千加は双子で分身。