×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -



小ねた
2013/05/02 23:54

「千加」
「うん?なぁに、せいちゃん」
「きみがすきだ」
「…えっ」
「あいしてるよ」
「え?え?せいちゃんどうしたの?」
「きみは?」
「えっ」
「ぼくのこと好き?」
「…え、あ、うん!千加もせいちゃんだいすき!」
「どれくらい?」
「ど……れくらい?……えーと?」
「どれくらい?」
「…せ、世界でいちばん、かなあ……」
「……うん」
「…生まれてからずっといっしょだったけど、これからもずっといっしょにいたいなぁ」
「うん、これからもよろしくね」
「うん!!」

そうして、握りあった手のひらのあたたかさを、今も覚えている。


「征ちゃん」

きみは、まるで一番最初に結婚の約束をしたときの、幼い少女の頃ように変わらぬ笑顔で笑った。

「ずっと、傍にいてくれてありがとう」

震える手のぬくもりは、遠く切ない。きみの手はいつだってあたたかくて、僕はそのぬくもりをいつも分けてもらっていた。冷たい僕の手を握りしめて、いつもきみはこんな僕に対して「心があったかいからだね」なんて笑いかけるんだ。本当に、きみはバカだ。

「ずっと、いっしょ。そんな約束を生まれてからずっと守り続けてくれて、」

ありがとう。そうして、きみは繰り返す。ちがう、ちがう、ちがうんだ。それを口にすべきは僕のほうだ。僕はきみをいつだって離したくなくて、僕以外の誰にも奪われたくなくて、ずっときみを引き留めて縛ってきたんだ。きみの人生そのものを、僕のものにしたかったんだ。そんな恐ろしいほどの歪んだ執着を、いつだってきみは受け入れて、こんな僕を抱きしめて愛してくれた。幼い頃と少しだって変わらないまま純粋に、一途に僕だけを望んでくれた。僕らが初めて誓ったあの小さな恋心のようにきれいなまま、このたったひとつの愛を選び続けてくれた。

「……せいちゃん」

きみと初めて出会った日のこと、僕は生後数週間で明確な記憶なんて全く持ち合わせてはいないけれど、でもきっと一目惚れだった。だって、ずっと、きみが大好きだったんだ。きみ以上に、見つめあうたったそれだけのことで、いとしさに胸が苦しくなるひとなんて、どこにもいない、いないんだ。好きだ、好きだ、好きだ。世界でいちばん、誰よりも何よりも、きみを愛してる、あいしてるんだよ、ねぇ、

「わたし、ずっとしあわせだったわ」

――だいすきだよ、せいちゃん!
――ぼくもだよ、千加
――ずっと、ずっと、いっしょだよ!

「ありがとう」


生まれてから、死ぬまで



そうして、きみの呼吸は静かに止まった。穏やかな表情はまるで眠っているかのようで。僕は震える手をそっと下ろして、きみの手を安らかに眠らせた。ああ、いとしいひと。どうして、どうして。ああ、あのぬくもりはもう二度と戻らないのか。そんなことを思って、僕はゆっくりと、泣いた。ねぇ、ぼくは泣いているよ。今、泣いているよ。だから、だから。ねぇ、お願いだから弱いぼくに気づいて、早く、早く、はやく、抱きしめてよ。あざやかだった、あの頃のように。ねぇ、お願いだよ、千加。

「……ずっと、いっしょだ」

――ああ、いつか、もう一度巡り逢ったら。

「………またね、千加」

今度はなんて言って、きみを口説き通そうか。何度だって、伝えるよ。

『変わることなく、あなただけを想っています』


あの花の約束の意味は、『永遠』なのだから。





――……あなたが、大好き

「ねぇ」
「なぁに?」
「だいすき」
「わたしも!」
「ほんとう?じゃあ、ぼくとけっこんしてくれる?」
「けっこん?それ、なぁに?」
「ずっといっしょってことだよ」
「ずっと?ほんとに、ずっといっしょ?」
「うん、ずっとだよ。ずっと」
「ほんとう?わたし、せいくんだいすき!」
「ぼくもきみが、だいすきだよ。……――きみと初めて、出会った頃から、ずっと」







すみませんでした!一度書いてみたかったんです。バカップルには永遠を貫いてほしいですね、本当に。それにしても小ねたの自由度が上がりすぎですね……すみません。