×
第3回BLove小説・漫画コンテスト結果発表!
テーマ「人外ファンタジー」
- ナノ -



小ねた
2013/07/09 02:34

「いつか、お前に勝ってやるのだよ」
それは無理だ、緑間。俺が負けるなど絶対にあり得ないからな。

「こんなん背高いやつが勝つクソスポーツだし」
そんなことはないぞ、紫原。この俺が勝ち続けている事実こそがその答えだろう?

「どっかにいないんすかね〜もっとすごいやつ」
お前は相変わらずバカだな、黄瀬。世間はお前が思うほど狭くはない、いつかお前も必ず出会うんだ。

「俺に勝てるやつなんて、もうどこにもいねーわ」
ふざけるなよ、青峰。いるだろう、そんなものはここに大勢。何故、気付かない。

「ボクはバスケを嫌いになりそうです」
だけどそれでもお前は捨てられない。分かっているだろう黒子、誰よりも。


お前たちはなぜ気付かない。答えはずっと俺たちの中にあっただろう?どうして届いてくれない?どうしてそんなにも蝕まれてゆく?俺が、間違っているとでも言うのか?なぜこんなにも蝕まれてゆく、ぼろぼろに崩れてゆく?どうして、こんなにも簡単に手のひらからこぼれておちてゆくのか。

誰かが俺たちを「キセキ」だと称したけれど、俺はまさにその名は相応しいと自負しているんだ。なのに。わかって、いるのか?俺たちの存在こそが「キセキ」なんだぞ、十年にひとりの逸材が同じ時に同じ場所で肩を並べられたんだぞ。それがどれほどの僥倖であろうか、俺はそれをこんなにも噛みしめているというのに。

――だって、いなかったんだ。決して負けない、すべて勝ち続けてきた俺と肩を並べられる存在など、畏怖すら向けられた俺を本当の意味で信頼してくれた存在など。そんなの、今までどこにもいなかったんだ。生まれてからずっと傍にあったあの子以外に出会えるなど想像すらしていなかったんだ。

――お前たちは、確かに俺の大切な、初めての、友人で、仲間だった。


だから「僕」は、決めたんだ。


キセキをつなぐこと、壊れたすべての破片を再生させるために、僕は勝ち続けること。僕が、僕こそがお前たちを負かして、そしていつかの気持ちを思い出させること。

――真太郎、いつからお前は機械的なプレイになってしまった?

――敦、いつからお前は自分はバスケが嫌いだと思い違うようになった?

――大輝、どうしてお前は進むこと躊躇うようになった?

――涼太、どうしてお前は追いかけることやめた?

――テツヤ、いつからお前は笑わなくなっていた?


僕らはいつからか立ち止まったまま、動けないでいる。圧倒的な天才たちは同じ場所にいながら、最後は別々の場所を見つめながら本当にバラバラになってしまった。周囲との隔絶からか僕らは渇いていくばかりなのに、勝利への執着は増してゆく。苦しい、虚しい。それなのにぶつけどころのない闘争心がただひたすらに騒ぐんだ。こんなもどかしい思いをするのは、やはり最初から俺だけで、いい。

いつか、いつか、僕はもう一度、あの頃を取り戻したい。肩を並べて笑い合い、喜び合った日々を。

いつか、もう一度。


「もう戻らないしあわせの話」




あらゆる分野において普遍的に天才な赤司が、バスケにおいての圧倒的天才である友人たちに友情以上に、感謝と憧れがあったかなと思うのですが、行き過ぎた妄想ですかね。いつも一番、負けないし間違えない、すごいすごいと常に衆目の的であるらしい赤司、中一時点でも緑間さえ赤司を理解するのは難しかったようなので、天才として人知れず孤独があったのかもしれないと思ってしまいます。


んー、まあ捏造しかないわけですが、いろいろ考えるとやっぱり赤司が勝ち続ける理由とかは、自分こそが他のキセキに勝つことで、勝ち続けてきたキセキたちの自負や虚栄を打ち崩して、頑なになる前の前を向いていた昔の気持ち思い出してほしいんじゃないのかと。そして、そんな自分を負かしてくれる可能性を秘めているのが黒子で、そんな黒子に誰より期待を込めているのかな。という希望的観測。でも最近の本誌見てるとやっぱり違うのかな〜微妙だな〜って思います。お目汚し失礼しました。