しるしがほしいのだ しあわせだよってはにかむあの日のきみが、いまでも心臓のずうっと奥のほうでひそやかに息づいている せめて夢にはでてこないでおくれよ いちばん欲しかったものはずっとここにあった ただほかでもないあの日のおまえに赦されたかっただけなのに ▽ うそだけは上手なひとだった さよならを言わなかったのはなぜ 夜はやさしすぎるから苦しい ひとつだけわかっているのは、きみはもうこの部屋にこないっていうこと わたしは天使なんかじゃなかった ▽ お願いだから思い出さないでいて、 そうしたらきみはきっとしあわせになれる お願いだからなにも言わないでいて、 そうしたらぼくはばかみたいに信じていられる 今日だけはおとな 夜明けがつれてくる何かをずっと待ち続けている 正解なんてここにはなかった ▽ まなうらにきらめくあの日のきみが記憶の底に沈むまで、きっと何度だって恋をする 今はもうない / 十八の春だった |