ガラッと音を立てて扉を開ける。
「あっ、徠歌ーっ!」
保健室の椅子に座って寛いでる希が私の顔を見てそう言った。保健室に来ているのは希だけではない。准羅は勿論のこと、瑞希に軌翠さん、景吾が揃っていた。
「何?ここはたまり場か・・・?」
呆れながらボソッと呟いた言葉に対して皆は笑うしかなかった。
「それにしてもどうされたんですか?何か・・・様子が違いますね。」
「あぁ・・・」
全員の頭上に?が浮かんでいるように見える。近くにあるベットの端に座ると全員の視線がこちらに向く。
「・・・宍戸と日吉がむこうについた。」
「はっ?!」
「さっき、呼び出された時に居たからな。あの2人を落としたんだろ。」
「何先にやられてんだ?真実を知る日が遠のいていってる気がするのは俺だけか?」
あちゃーっと言いながら額を抑える准羅を横目で見る。
「でも・・・何で宍戸さんと日吉さんだけなんでしようか?傍観者を虜にしたかったのなら、芥川さんも居るでしよう?」
「あぁ。それなら多分、自分が怪我したところを見せるために3人を呼び出したが、芥川が来なかったという事だけだろ。
行く気が無かったか。真実を知りながら怖がっているのか。そんなことか。」
「あくまで予想ですか。」
あぁ。と呟いて軌翠さんと景吾を見る。2人が楽しそうに話をしている姿を見てふっと笑みを漏らした。
「まずは・・・芥川 慈郎に会って話さないといけないな。情報によれば怖がっているという線が強いが・・・」
「あ、あのー・・・」
ボソッと呟くように言っていると軌翠さんが近付いてきて、話しかけて来た。どうしたのかと顔をそちらへ向けて話を促す。
「何?」
「えっと・・・芥川先輩と話すんですよね?あのっ・・・、私も一緒に行っても良いですか?」
「ふっ。私は構わない。だが、辛い思いするかも知れないよ。」
「だ、大丈夫です!」
軌翠さんは覚悟出来ているといった目をしている。その覚悟無駄には出来ないな。
「芥川は授業にほとんど出ていないのだろう?」
「えぇ。受けても寝ていることが多いそうですよ。」
「サボり場所は分かるか?」
「ジローなら屋上に居るか裏庭だ。」
私と瑞希の話を黙って聞いていた景吾が口を挟んできた。
「次の時間に行ってみるか。
・・・軌翠さん、サボることは可能?授業中なら誰かに見られる心配もないしな。」
「大丈夫です。」
「徠歌はサボりたいだけでしよう?」
いきなりの希の言葉に一瞬驚いたが、良く分かったな、と小馬鹿にしたように言って笑った。
「そろそろ予鈴がなる。ちゃんと戻れよ。」
そう言った途端、予鈴が鳴った。辺りが教室に戻る人達でガヤガヤと騒がしくなる。
さぁ、傍観者の最後の1人と話しをしようじゃないか。