1時間目同様、先生達は大学の問題やら今やっている中1の問題やらを出してくる。勿論、簡単に解いたが、呆れていた。この教師達をどうしたものかと。そんなことを考えていると横に誰かが来た。
「おい。ちょいこっち来ぃや。」
「・・・・・・」
その声にガタッと音をたて立ち上がる。これから成敗という名の虐めが始まるのだ。沈黙が続く中、前を歩く忍足の後ろを静かに歩く。
今は・・・昼休みか。そういや、お腹空いたな。なんて考えていたら屋上についた。
嗚呼、やっぱり居たんだ。向日に鳳、それに・・・宍戸と日吉?傍観者の2人が何故ここに居る?そんな疑問が私の中を駆け巡る。今、何が起こっているのか理解できない。宍戸と日吉に何が起こった?
「永藤っ!?お前、美姫に死ねって言って、斬り付けたそうだなっ!?」
葛藤している私に向かって向日が1歩前に出て叫んできた。その声を聴いた刹那、呆れた。
また、泣き付いたのか。懲りないな。
呆れた顔のまま、ここに居る全員を見据える。
「それっていつのこと?今日は東條さんに会った覚えないけど。」
「惚けるんですかっ?!美姫さんが泣いていたんですよっ!斬られた傷もありました。これで良い訳なんて聞きませんよっ!」
私の質問は無視して、怒りだす鳳に溜息が出た。
「はぁ・・・だったら、訊くけど。私が東條さんを斬ったところを貴方達、見たの?
・・・否、貴方達以外でもその様子を見た人いるの?私が東條さんにドリンクをかけたことろは?軌翠さんが東條さんをイジメてるって言ってたけど、その様子は?」
見下した視線で忍足達を見渡す。私の言葉に言い返せないのか、うっと言葉に詰まり押し黙っている。このまま考えさせては誤魔化した言葉が出て来るだろう。一呼吸置いてまた、続ける。
「貴方達は見ていないのに信じるんだね。
人は簡単に嘘をつくことが出来る頭の良い生き物なんだ。自分がしたことを簡単に他人がやったように見せることさえできる。噂や聞いたことだけが真実とは限らない。
周りを見れば、見えてくるものがある。もう少し視野を広げることだ。そうすれば、見えて来るだろう、貴方達にも。」
私はそれだけ少し早口で言うと踵を返し、屋上を後にした。
宍戸と日吉が何故あちら側についたのか調べないと。それから、もう1人の傍観者にも会って話をしといた方が良いだろう。
・・・結構頭が切れるんだな。見縊っていたのかもしれないな、東條のこと。馬鹿だと思っていたが、そうではなかったか。これからどうするか。何てことを考えながら歩いていると知らずのうちに保健室の前に来ていた。