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俺には今、好きな奴がいる。
もちろん円堂達に向けているようなものではなく、妹、春奈に向けているようなものでもないその感情に、この俺は翻弄されている。
風丸一郎太、それが俺の『恋』の対象だ。



その風、疾風の如く。



俺が奴を気になり出したのは、雷門と初めて練習試合をした時。
ぼろぼろの姿で、それでも円堂をかばうあいつがとても綺麗に見えた。
それからはずっとあいつの事しか考えられなくなった。

世宇子に負けて豪炎寺からの誘いがあった時も、本人は気付いていないつもりだったが、無謀にも、少しはそういう期待があったのだ…。


鬼道はまだ知らない。
まさかそれは現実になるとは。



鬼道が雷門に来てまだ三日目、慣れない校舎をさ迷っていた時だった。


「…保健室はどこだ」

見かけより案外広いこの校舎に、鬼道は途方に暮れていた。
帝国とは全く違う造りの校舎。
暖かな黄色がメインとなっている学校。

(まさに真逆、だな…)


(…でも、悪くない。)


青いマントをたなびかせ、再び例の部屋を捜しに行こうとすると。
灰色に近い空色の頭が目に入った。
少し高めにくくったポニーテールが印象の彼は、ドアをがらりと開け中に入っていった。


「…あいつに聞いてみるか」

そう思うと、鬼道はざ、とその後を追いかけた。




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