@


囚われの小鹿。





「……う…」

冷たい地下室の様な部屋…窓もないこの部屋で、ガゼルは目を覚ました。
頭痛がする上に腕が動かないところを見ると、どうやら監禁されている様だ。
大分吊られていたのかだるい腕をどうにかしようと動かすが、ジャラジャラと重い鉄の音が聞こえるだけで終わった。


此処はどこで、犯人は誰か。
何を目的でやったのか。
ずきずきと痛みなかなか働かない頭で、ガゼルは懸命に考えた。

「目が覚めたようだね?」
「ったく遅えお目覚めだなァ、ガゼルくん?」

ふいに聞きなれた声がし、目を向ける。
すると、予想通りにそこに立っているのはグランとバーンだった。
こんな事をされる身に覚えがないガゼルは、早速彼らに牙を向けた。

「これをしたのはお前達か…!とっとと外してもらおうか」
「残念だけどそれは出来ないな。ね、バーン?」
「あぁグラン、おまえにはこれから罰を与えるんだから…。」
「………!」

罰、という言葉よりも、ガゼルには二人だけの持つ世界観にショックを受けた。
クスクスを笑いながら見下ろしてくるグランとバーン。

(違う……。前の、時と…。)

まるで私など眼中のない様に。二人は会話した。



「私にはそんな事をされる覚えがない。錠を外せ!」
「本当に覚えてないの…?君は負けただろ。雷門イレブンに…。」
「『同点は敗北と同じ』だったよな?俺達エイリア学園にとっては。特に俺達マスターランクにとってはなァ。…あぁ、お前はもう違うんだっけ?くくっ…」

言われて思い出す。
そういえば、私は雷門イレブンに勝負を挑み…、同点で試合は終わった……。
そして………。

「…!!」
「思い出した様だね。そう、君のもつ『ダイヤモンドダスト』はもうマスターランクチームではない。」
「お前は俺らより下なんだよ」

バーンは鼻で笑った。

降りかかる冷たい目線、ガゼルは認めたくない一心で叫んだ。
そう。私は相手の実力を…スペックを測っていただけだ…!

「しっ…下ではない…!!私は、私は雷門イレブンの実力を測っていただけだ…!!」
「言い訳とは…見苦しいね、ガゼル?」
「言い訳などでは…!」
「おまえにはこれから嫌ってくらいの罰を、…受けてもらうぜ」
「まあ、罰って言っても僕らの犬になってもらうだけだし、躾だけど。気持ちよくなるだけだしね。よかったねぇ、ガゼル…?」

痛恨の叫びはもちろん聞き入れてもらえるはずもなく、ガゼルは項垂れた。
目が合ったグランに縋るような目線を送っても、にっこりと笑顔が返ってくるだけ。

ガゼルはここで漸く理解した。
自分がもう対等の立場ではない事に。
自分がもう、何を言っても無駄なことに…。


力の抜けたガゼルを見るなり、グランとバーンはにやりと笑った。
調教はここからなのだ。



- 19 -


[*前] | [次#]
ページ:




「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -