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「…やあ、待った?」
「いや…。君が吹雪くん?かわいいじゃん」
「えー、男にしとくのもったいねー!!」「いや、男だからこそ燃えるんだろ?

「肌白いねー」

路地裏の最奥に着くと、既に約束の男達は来ていた。
…見るからに品のない連中だ。
一番に目のついた金髪の、顔はまあ悪くない男に話しかけると、僕の存在に気付
いた周りの連中が一気に騒ぎ出した。
うっとおしい…けど、これから巻き起こることを考えると楽しくて仕方ない。


『…士朗、こいつら誰だよ?』
「ねえ、じゃあ早速始めない…?僕、もう待てない…。」
『おい、士朗っ!!』
「お、積極的だねー。じゃあ、早速始めますか!こっちだよ」

男に誘われるまま、士朗は横にある廃ビルへと足を進めた。
敦也の声なんか聞こえない。



廃ビルの中は、荒れに荒れていた。
床はガラスの破片なんかでいっぱいだし、なんだか煙草臭い。
真ん中には小汚ないソファーがひとつ置いてあるかと思うと、穴が空いて綿が飛
び出していた。

「じゃあ、吹雪くんはここに寝てね」
「はい」
『何してッ…士朗!!何してんだよ!!サッカーショップは…!』
「敦也…君って本当に馬鹿だよ。…じゃあ、始めて下さい。」


士朗が言うと同時に、数多の手が伸びてくる。
少し恐怖にたじろくが、別に怖くなどない。
だって、この恐怖を味わうのは、…僕じゃないから。


金髪の男の手が胸の突起に触れると同時に、士朗も自らのマフラーに触れた。
強い士朗の意思に、強制的に敦也が前に引き出される。
約束通りにと、男達はタイミングを見計らうと素早くマフラーを取り祓った。
これで敦也は、もう入れ替わる事ができない―――。

「…!!?しっ士朗…!?やッやめろ、触んな……!!」
「君がもうひとりの吹雪くん?」
「なっに、言って…!…ひ、…触んな!!!」

何が起きているか分からない。
ただ、ふと尻に触れた汗ばんだ手が死ぬほど気持ち悪くて、条件反射で男の手を
思いっ切り叩いて振り払えば、男の目が一気に冷たくなるのを感じた。

「…成る程、確かに威勢がいいね。でも自分の立場が理解出来てないみたいだ。
…動けなくしちゃおうか?」
「目隠しとかあるぜー」
「いいね。じゃあ俺は敦也くんの腕を縛るから、お前は目を隠しといて。」
「オッケー」
「や、やめろッ…!!いや、嫌だっ離せ…!!士朗…っ!!」
「馬鹿だなお前。あいつが、おまえを犯すように言ったんだぜ」
「ッな……!?」

理解が、出来なかった。
なんとか出来たのは、腕を後ろ手に縛られて、もう視界は真っ暗になった後だっ
た。
…嘘だ。
士朗が俺を騙すなんて………、俺にこんな事をするなんて……嘘だろ?

信じたくない。




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