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不良共にからかわれながらもそれを無視し、なんとか一日の授業が全て終わった。
帰宅部の連中は家に帰るなりゲーセンに行くなりするのだろうが、俺は違う。
俺は、サッカー部だ。
風丸は、はあとため息をひとつ落とし、鞄に荷物をまとめた。



その風、疾風の如く。B




これまでに、そりゃあ喧嘩をしたりして部室に行きにくくなった事などはなくはないが、今までの中でこれが一番だと思う。
…なんて、呑気だな。
部室へ向かう風丸の足取りは重かった。

なんて説明しよう、皆受け入れてくれるだろうか。
そのことばかりが頭をよぎる。

人間には何故感情という物ががあるのだろうか、なんて被虐的なことまで考えてしまう。
今までもそれに幾度と無く助けられてきたというのに。

(ましてや、円堂に嫌われたら………。)

そこまで考えたところで、もう部室の目の前にまで来ていることに気付いた。
ドアノブを捻れば、もう皆が居る…。
部室に入るのがこんなに億劫になる日が来るなんて。想像もしてなかった。

だがしかし、これじゃ駄目だと風丸はついにドアノブを捻った。
ギィ、と年代を思わせる音が響く。
静まり返った部室。
皆が、こっちを見ている…。
鬼道と円堂はまだ来ていない様子だった。

ふと、半田が寄ってきた。

「…風丸、新聞部のいたずらだろ…、気にすんなよ」
「半田……」
「そうでヤンスよ!気にすることないでヤンス!新聞部なら、きっと雷門夏未がなんとかしてくれるでヤンスよ!」

次々に新聞部を戒める部員の声が上がる。
だが、皆どこか不安そうな顔が隠しきれていない。

信じられないのだろう、受け入れたくないのだろう…、風丸は改めて後悔した。
(俺は、サッカー部に居る資格なんてないな…。)

何も言わない風丸に部員達の不安は募る一方で、嫌な沈黙を破るようにして部室に入ってきたのは豪炎寺だった。
次々に部員が声を上げる。

「豪炎寺!」
「豪炎寺さん!キャプテンは!?」
「今、鬼道と話している…風丸、」

話の流れからして、豪炎寺が部室に来ない円堂の様子を見に行っていたのだろう。
鬼道と話している…、つまりは、事の事実を。
風丸は無意識に目じりに溜まる涙を拭いたかったが、拭えば泣いたということがばれる。
それがまず嫌だったので、何もせず豪炎寺に促されるまま外に出た。



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